中国メディアの環球時報は16日、「止まらない円安が暴露する根深い問題」との論評記事を掲載した。著者は遼寧社会科学院・東北アジア研究所の秦兵(チン・ビン)研究員。

秦氏は日銀が昨年末に利上げを発表し、政策金利が0.25ポイント引き上げられて0.75%と30年ぶりの高水準に達したことに言及。「『失われた30年』を経た日本の金融政策における重大な転換と受け止められたが、市場の予想に反して円は上昇軌道に入るどころか大きく下落し、現在も低水準で推移している」とした。

その上で、「今回の利上げは円の継続的な下落や物価高が国内や金融市場で強い不安を引き起こしていることへの対応だった。しかし、利上げ後も円は下げ止まらない状況にある」とし、その理由を5点挙げた。

1点目は「日銀の動きが遅く今後の利上げの時期やペースを明確に示せていないこと」だとし、「シグナルの曖昧さが、為替市場の不確実性を一段と高めている」と指摘。2点目は「市場の駆け引き」で、「日本政府は円相場がファンダメンタルズから乖離(かいり)した急激な変動を見せた場合、政府はいつでも介入するとの姿勢だが、市場では円安はまだ底を打っておらず、政府介入までは距離があると見られている。投機筋も、現時点で円を売り込むことは安全と判断し、ドルを買って円を売る動きを続けている」とした。

3点目は「財政悪化リスク」で、「高市政権は発足後、支持獲得を狙って大規模な経済刺激策を打ち出したが、市場は冷静に受け止め、日本の財政状況を否定的に評価している」と主張。「財政支出の拡大が続く中、市場では財政悪化への懸念から円売りが進み、これが円安を招く主要な要因の一つとなっている」と論じた。4点目は「米ドルとの関係」で、「最新のデータでは、米国経済の成長モメンタムに減速の兆しが見られ、米当局も利下げに慎重な姿勢を示している。これは、ドルの高金利が当面続く可能性を意味する。現在の日米金利差は資金が日本から米国へ流れ続ける要因となっており、円は下落基調を示している」とした。

そして5点目に「地政学リスク」を挙げ、「高市氏による台湾問題をめぐる不適切な発言は、地域の政治・経済的な不安定化を一段と深め、市場の日本資産への投資意欲を低下させた」と主張。「また、北東アジアでは日本はロシア、北朝鮮、韓国とも摩擦を抱えている。市場のリスク回避姿勢が強まる中、円の信用が損なわれ、円を売ってドルを買う動きが常態化している」と述べた。

秦氏は「円安の長期化はすでに日本経済を下押しする構造的要因となっており、日本の金融政策当局にとっても頭を悩ませる問題になっている」と指摘。円安の負の影響として「輸入インフレの圧力を強め、国内の物価安定を損ない、国民の生活負担を増大させている」「資源に乏しい島国である日本においては、エネルギーの輸入コストが上がる。価格転嫁は容易ではなく、多くの中小企業が厳しい経営を迫られている」「円の長期低迷によって引き起こされる金利構造の再編や為替変動などは国境を越えて波及し、国際金融市場の安定にも影響を及ぼす」の3点を挙げた。

そして、「利上げでも下げ止まらない円の状況は、日本経済に内在する多層的かつ根深い問題が表面化したことを示すものだ」と指摘。「現在、市場は日本政府がいつ2024年以来の為替介入に踏み切るのかに強い関心を寄せているが、根本的には現状の日米金利差が継続し、高市内閣が金融緩和を伴う景気刺激策を拡大し続けて財政悪化を招き、さらに日中関係の緊張が緩和されないままであれば、円をめぐる市場の信認は回復し難く、円相場は一段と低い水準へと下落する可能性がある」と結んだ。(翻訳・編集/北田)

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