2026年1月20日、中国の経済メディア・第一財経は、BRICs(現在のBRICS)概念の提唱者として知られる著名エコノミストの寄稿記事を掲載し、トランプ米政権の強権的な行動と西側諸国が直面する国際秩序の激変について報じた。

記事の筆者は、「BRICsの生みの親」と称される元英国財務省商務官のジム・オニール氏。

オニール氏は冒頭、年初に世界を震撼させたトランプ政権によるベネズエラのマドゥロ大統領に対する深夜の急襲・拘束作戦に言及。この事態は、旧来の国際秩序に一縷の望みを抱いていた人々の期待を根底から覆すものであり、米国が国際法や交戦規定を無視し、自らが定義する「正当な理由」のみに基づいて行動する新時代へ突入したことを決定づけたと指摘した。

そして、もはや外交的な美辞麗句や道徳的な説教は通用せず、米国の同盟国を含む西側諸国は、冷厳な現実を直視し、国際舞台における自らの立ち位置を再定義する必要があると論じている。

また、概念の提唱から25周年を迎えたBRICSについて、当時からその重要性は投資対象としてではなく、より公平で実効性のあるグローバル・ガバナンスの必要性にあったと説明。BRICSと対比する形で欧州連合(EU)について触れ、ユーロ圏の確立後もフランス、ドイツ、イタリアが国際機関で個別の議席を維持している現状に疑問を呈するとともに、規模の経済や生活水準を支える生産性向上を実現できていない現状を「弛みと怠慢」であると厳しく批判した。

オニール氏はさらに、米政治メディア「ポリティコ」が報じたトランプ政権の新たな構想「C5(グループ・オブ・ファイブ)」に注目。この枠組みに米国、日本、そしてBRICSメンバーの中国、インド、ロシアが含まれる一方で欧州やブラジルが除外されていることに触れ、トランプ政権が誰を「真のプレイヤー」と見なしているかを如実に示していると指摘した。

このほか、中国との関係を深化させつつ現実主義と価値観のバランスを模索しているとしてカナダのカーニー首相を高く評価。英国もEU離脱後の苦境にありながら、時折同様の歩みを見せているとした。一方で、欧州大陸は依然として「砂の中に頭を埋めた」状態で現実逃避しており、野心も欠如していると酷評した。

オニール氏は最後に、明確なビジョンがあれば25年後の世界は変わり得るとし、西側諸国に対し、拡大する「BRICSプラス」という現実に向けて思考を刷新すべき時だと結んでいる。(編集・翻訳/川尻)

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