ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は24日から27日まで中国を訪問する。この訪中には、ドイツ首相としてはメルケル元首相(在任:2005-21年)以来の最大規模の財界代表団が同行する。

フランスメディアのRFIがドイツでの報道を引用するなどで伝えた。

メルツ首相の訪中に同行する財界代表団には、ドイツの主要企業とされるDAX企業(DAX指数採用銘柄の企業)の最高経営責任者(CEO)が多くいる。また、同行を希望する財界人が提供される人数枠を上回ってしまったほどという。

ドイツ企業は中国の競合相手からの日増しに高まる圧力に直面している。中国企業は革新性を備えた新製品を次々に登場させ、かつ価格競争力も極めて強い場合が多い。そして中国企業は自国市場でドイツ企業に挑戦を突きつけるだけでなく、第三国市場においても直接の競争に及んでいる。

一方で、政治と企業の対中問題における利益が完全には一致していないことがますます明らかになってきた。欧州各国の政府首脳は、いかにして欧州連合(EU)の工業と雇用を最適化するかを議論しているが、企業にとっては事業の運営場所や市場が本国であれ中国であれ、利益を最大化することが関心事だ。

ドイツで運営される政府や経済界の動きを最も詳しく伝えるメディアのテーブル・ブリーフィングによると、メルツ首相に同行する経済代表団は、中国側による輸出規制や人民元レートがもたらす競争のゆがみ、中国での市場参入、公平な競争環境などについて、中国側と議論する考えだ。

数字を見れば、ドイツの中国に対する経済依存度は最近になり明確に低下している。ドイツ経済研究所によると、ドイツでは21年、約110万人分の雇用が直接または間接に中国関連業務で創出されていたが、この数字は現在までに40万人分にまで減少した。またドイツの輸出全体に占める対中輸出は21年8.5%から5.5%にまで減った。

ただし、この変化はある程度まで、ドイツその他の欧州企業が中国本土で中国市場を相手にビジネスを進めることに適応して、中国に進出したことによるものだ。

さらには、中国を拠点に世界に向けてのビジネスを展開する動きも進んでいる。フォルクスワーゲンのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は取材に対して、「中国で開発された技術と製品はわれわれに新たな輸出の機会をもたらした。特に、これまで欧州から狙って売り込もうとしても困難だった地域においてだ」と説明した。

現在ではEU全体として、中国による圧力をますます強く感じる状況だ。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、中国における補助金問題や過剰な製造能力の問題が大きくなっており、欧州では脱工業化のリスクが高まっていると警告した。すなわち、中国では補助金などの関係もあり、企業が過剰な製造能力を持つに至った。そのため、EU域内の工業企業は中国企業に対抗できなくなり、工業全体が衰えかねないとの主張だ。いったん工業の基盤が崩壊すれば、工業製品を中国からの輸入に頼らざるをえなくなり、そのことは安全保障上のリスクにも直結する。

これまでの報道によると、メルツ首相の訪中に同行するドイツのDAX企業のCEOには次の人物が含まれる。バイエルのビル・アンダーソンCEO、フォルクスワーゲンのオリバー・ブルーメCEO、シーメンスのローランド・ブッシュCEO、アディダスのビョルン・グルデンCEO、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウスCEO、ヘンケルのカステン・クノーベルCEO、DHLグループのトビアス・マイヤーCEO、コメルツ銀行のベッティーナ・オルロップCEO、BMWのオリバー・ツィプセCEO、コベストロのマルクス・シュタイレマンCEOだ。

また同族経営で株式は上場していないが、世界最大規模の製薬会社であるベーリンガーインゲルハイムのフベルトゥス・フォン・バウムバッハCEOや、エアバスの民間航空機部門責任者であるラース・ワグナー氏もメルツ首相に同行して中国に向かう。

(翻訳・編集/如月隼人)

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