2026年10月30日、中国メディア・中国新聞網は、米国のレアアース自前化計画が大きくつまずいていると報じた。
記事は、スコット・ベッセント米財務長官が昨年11月、サウスカロライナ州サムターにあるレアアース永久磁石工場で「中国によるサプライチェーンの締め付けを終わらせつつある」と誇らしげに語ったことを紹介した上で、最近になって同工場の受注の9割を占めていた大口顧客のゼネラル・モーターズ(GM)が、10年間に及ぶ長期供給契約を突如解除したと伝えた。
そしてこの工場について、独磁性材料大手VACグループの米国法人が約5億ドル(約787億円)を投じて建設したもので、GM向けに特化した生産体制を整えていたと説明。今回のキャンセルを受け、VACの買収を計画していた米資源大手エナジー・フューエルズは買収価格の見直しを示唆しているとした。
また、GMの契約解除の背景には、トランプ政権が発足後に電気自動車(EV)への連邦政府の優遇策を撤廃したことがあると分析。EV事業で赤字を抱えるGMは減産へとかじを切り、投資縮小に伴って磁石の需要も激減したと解説している。
さらに、仮に契約が続いていたとしても米国のレアアース国産化は容易ではなく、最大の難関は採掘ではなく、分離や磁石の製造を担う人材の育成にあると指摘。シドニー工科大学豪中関係研究所のマリーナ准教授が「一人前のエンジニアを育てるには少なくとも10年の実務経験が必要だ」と語ったほか、バーミンガム大学のギャビン・ハーパー研究員も、技術の空洞化によって米国は設備や工程に関するノウハウをゼロから再構築しなければならない状態にあると分析していることを伝えた。
記事は、さらに深刻なのは製造コストの差であり、中国では中級グレードのネオジム磁石が1キロ当たり約26ドル(約4090円)で製造できるのに対し、欧米では約34ドル(約5350円)と3割ほど高いと紹介。政府の支援だけで支えられている産業は実質的に国防事業にすぎず、民間市場で生き残るサプライチェーンにはなり得ないと論じた。(編集・翻訳/川尻)











