彼が経営するマディソン・スクエア・ガーデン・カンパニーは、今年9月ラスベガスで、MSGSphere Las Vegasの起工式を行った。
MSG Sphereはツアー興行ももちろん可能だが、どちらかというと、レジデンス公演やスペシャルイベントなど、施設の機能をフル活用できる催しが向いているようだ。ビデオスクリーンは観客の頭上で湾曲し、「プラネタリウムを10倍にしたような迫力だ」とディブル氏。「これまでで地球最大級のディスプレイ」だとも付け加えた(プラネタリウムと違って床面から映像を投影するのではなく、LEDパネルを使用している)。
スピーカーは、ドイツの新興企業Holoplot社製。音響ビームの絞り込みを専門とする同社の製品は、セクションごとに異なる音を送信することが可能(MSGによれば、異なる言語の言葉を特定のセクションに狙いを定めて送ることもできるという)。
振動するフロアは、低音がポイントだ。「センサー技術を搭載したフロアシステムを開発しました」とディブル氏。「実はまだ開発中なんですが、一番下の低音は、大気中ではなく、文字通り床面を通して伝わってきます。足元、または座席から音が伝わってくる仕組みです。かなりすごい体験になると思いますよ」
MSGでは音楽イベントだけでなく、ほかにも大胆な用途を検討している。Eスポーツや巨大スクリーンでの「集団ゲーム大会」(1万9000人の友人と一斉にゲームをプレイする)、または「ゴーグル無しで楽しめるVR」のような、ロールプレイング型体験など。
ロンドンでもSphere建設計画が進行しており、MSGの期待は高い。ディラン氏は起工式で、報道陣に向かってこう公言した。「いまから3年後に、皆さんはきっとこう言うでしょう。『こんな風になるなんて、思いもしなかった』と。そのぐらいクレイジーで、とんでもないプロジェクトなんです」