先日ニューヨークで行われたニック・メイソンのソースフル・オブ・シークレッツのコンサートに、ロジャー・ウォーターズが登場して「太陽讃歌」を歌い、ファンを唖然とさせた。
このサプライズ共演は、2011年5月12日にロンドンでウォーターズが行っていたザ・ウォール・ツアーに、メイソンとデヴィッド・ギルモアがジョイントして以来である。2011年のこのロンドン公演では、ギルモアがギターを演奏し、「コンフォタブリー・ナム」を歌ったが、メイソンが登場したのはコンサート終盤の「アウトサイド・ザ・ウォール」の最後で、タンバリンを鳴らしただけだった。しかし、このとき、存命している元ピンク・フロイドのメンバー3人が同じステージに立ったのである。
2005年にはメンバー間の確執を克服し、再び集結してツアーを行う動きが出ていた。実際に、同年7月にはLIVE 8(ライブエイト)で短いセットを披露しており、その後、地球上のあらゆるスタジアムを押さえると思われたが、実現には至らなかった。数カ月後、ウォーターズはローリングストーン誌に「リハーサルで問題が起きたら、どんな些細な意見の相違であっても、逆らわないようにしようと決めた。実際に逆らわなかったよ。しかし、1日ならなんとかなるが、ツアーの間ずっと我慢するのは到底無理だった」と語ったのである。
翌年、デヴィッド・ギルモアは1994年にピンク・フロイドを解散してから初のソロ・ツアーを開始した。このツアーにキーボーディストのリチャード・ライトを参加させて、ピンク・フロイドのクラシック曲を多数披露したのだった。
それから2年後、リチャード・ライトがガンで他界してしまい、『狂気』のフルラインナップでの再結成は夢と消えた。2011年のO2アリーナ公演の前後にはウォーターズとギルモアが友好関係にあったようだが、最近メイソンがローリングストーン誌に語ったところによると、近年の二人はほとんど交流がないらしい。
「思うに、一番の理由はロジャーがデヴィッドをリスペクトしないことだ」と言って、メイソンが続けた。「ロジャーにとって曲作りが音楽のすべてなんだよ。ギターを弾いたり、歌を歌ったりというのは、誰でもできるというわけではないが、ロジャーにしてみると演奏よりも作る方をもっと重要視して判断してほしいということだ。そんな状況に巻き込まれるのは勘弁してほしいと思う。だって二人の問題だからね。事実、私は二人と良い関係を続けているし、いい大人になっても相変わらず言い争っているあの二人にはけっこうガッカリしている」と。