ローリングストーン誌の動画企画「The First Time」に、最新アルバム『It Is What It Is』が日本でも話題沸騰中のサンダーキャットが登場。「初めてサンダーキャットと名乗った時」「初めて曲を書いた時」「最初にケンドリック・ラマーを笑わせた時」など、これまでの人生で経験してきた初体験の数々を明かしている。
その完全翻訳版をお届け。

●「The First Time」インタビュー動画を見る

1. 初めて自分をサンダーキャットと名乗った時

2011年にソロキャリアをスタートする以前、彼はエリカ・バドゥ、スイサイダル・テンデンシーズ、そしてスヌープ・ドッグのベーシストとして活動していた。

サンダーキャット(以下、TC):俺が最初に自分のことを違和感なくサンダーキャットと名乗ったのは、エリカ・バドゥに会った時かな。俺たちの知り合いの家で会ったんだ。「えっと…俺はサンダーキャット。ヨロシク」って(笑)。

2. 初めてのライブパフォーマンス

TC:すぐに思い浮かんだのはヤング・ジャズ・ジャイアンツ。カタリーナズ・バー・アンド・グリルで、カマシ・ワシントンとロナルド・ブルーナーと一緒にやったショー。たぶん、あれが人生初のショーだと思う。あれはファミリー・ショーみたいな感じだったし、ヘタクソだった。ショーのビデオが(YouTubeに)あるはず。俺はダブルペースもプレイしたんだ。


3. 初めて曲を書いた時

数々のコラボレーション、フィーチャリング、そして自身のアルバムを制作する前に、サンダーキャットは従兄弟と一緒に自身にとって初めての曲を書いた。インタビュー中、彼は自分がベースをプレイし、彼の従兄弟がトランペットを吹いていたその時の様子を思い出しながらこう話す。

TC:従兄弟が、「俺シーケンサーもってるから家に来いよ」っていうから、別にいいけどって返事した。で、従兄弟がトランペット、俺がベース担当だった。とりあえず使ってみようぜ、みたいな。ビートを作って、ベースにエンベロープフィルターをかけたりしてさ。で、「俺たちプロデューサーだな!」なんて言ってた(笑)。「ブラザー、これは正式プロジェクトだ」「これまでのことは忘れろ」「これからは作曲家だ。名刺がいるな」って。

4. 初めてスヌープ・ドッグにフランク・ザッパを聴かせた時

TC:スヌープのバンドには数年間いたよ。一度音楽の話で盛り上がって、彼が部屋に呼んでくれたことがあってさ。フランク・ザッパの名前を出したら、彼が「何だそれ?」って言うから、「St. Alfonzos Pancake Breakfast」をプレイしたんだ。


そのあと俺はスヌープのバンドを離れた。で、(2011年に)俺の1stアルバムが出た頃、家にいたら非通知の電話がかかってきた。出てみたら、スヌープが「Daylight」を歌ってたんだ。俺が初めて歌った曲で、涙が出てきたよ。スヌープが俺を覚えてくれてたなんて。彼は俺のことを誇りに思うと言って電話を切った。

5. 初めてスターに憧れた時

TC:初めて有名人を見て興奮したのは、文字通りBAPEに身を包んだファレル(・ウィリアムス)を見た時。何かのフェスでのことで、まだ発表されてないBAPEだった。その靴を履いてるファレルを見て、「俺が今見てるのはマジで何なんだ!?」って思った。N.E.R.D.の1stアルバムが出た時で(2001年)、誰かが写真を撮ってた。携帯に初めてカメラがついた頃でさ。野蛮人がファレルの周りでハドルしてるみたいだった。
「俺たちよりスゴイのか?」って思ったら、本当にスゴイ奴だったんだ。

6. 最初に惚れ込んだアルバム

インタビューの後半で、彼は人生で最初に惚れ込んだアルバムのことを思い出し始める。

TC:最初に惚れ込んだアルバムは、ジャコ・パストリアスのセルフタイトル・アルバム。「Portrait of Tracy」を聴いた時は脱力したよ。他のミュージシャンはクソだと思ったね。たぶん俺が10歳くらいの時だったかな。

7. 初めてケンドリック・ラマーに会った時

TC:初めてケンドリックに会ったのは、あれは『GOOD KID M.A.A.D CITY』(2012年)制作の終盤だった。ケンドリック曰く、彼がブラック・ヒッピー(※)として、俺がベースを弾いてた誰かの前座をやった時だったらしい。彼は俺を忘れてなかった。俺がいい奴だったから(笑)。

でも俺が覚えてるのは、サウンウェイヴが俺をスタジオに呼んでくれた時。ケンドリックに一瞬で魅了された。
只者じゃないなって思ったね。お互いが築き上げてきたサウンドがたっぷりとあったから、それがすぐに混ざり合って一つになったんだ。

※ケンドリック、ジェイ・ロック、スクールボーイ・Q、アブ・ソウルという西海岸のラッパーが集結し、2009年に結成されたグループ。2011年にミックステープ『Black Hippy』をリリースしている。

8. 最初にケンドリック・ラマーを笑わせた時

2015年、サンダーキャットはケンドリックのグラミー受賞作品『To Pimp a Butterfly』(2015年)に大きく貢献した。彼は初めてラマーを笑わせた時のことが絶対に忘れられないそうだ。

TC:彼を笑わせるのは至難の技。超真面目なヤツだからな。でも、ふざけたことを言って彼をニヤつかせたことが二度ほどあったと思う。「お前アホだな」なんて言ってたよ。最初に彼を笑わせた時の様子は、(ケンドリックの)『Untitled Unmastered』(2016年)で聴くことができる。「Head is the answer(untitled 04 08.14.2014.)」を座ってプレイしてる時だった。
彼のニカっとした笑顔が見えてくるはずさ。

サンダーキャットは先日、「Fair Chance」という新曲をリリースした。タイ・ダラー・サインとリル・Bをフィーチャーしたこの曲は、今は亡きマック・ミラーに捧げられたもので、発売中の最新アルバム『It Is What It Is」に収録されている。同作にはスティーヴ・レイシー、スティーヴ・アーリントン、チャイルディッシュ・ガンビーノ、そしてコメディアン兼ラッパーであるザック・フォックスがフィーチャーされている。

また、来日ツアーの振替日程も発表済み。東京、大阪、名古屋にて来年1月に開催される。世界中で予定されていたツアーが延期 (POSTPONED)されたことをデザインに落とし込んだ「ツアー延期Tシャツ」の予約をBeatinkの公式サイトにて現在受付中(締切:5月10日)。

サンダーキャットが赤裸々に語る、人生のハイライトとなった「初体験」

『It Is What It Is』
サンダーキャット
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サンダーキャットが赤裸々に語る、人生のハイライトとなった「初体験」

THUNDERCAT JAPAN TOUR 2021
2021月1日27日(水)東京 GARDEN HALL
2021月1日28日(木)大阪 BIGCAT
2021月1日29日(金)名古屋 CLUB QUATTRO
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