PUNPEEがワンマンライブを行うのは、2018年5月の東京・新木場STUDIO COASTでの公演以来約2年ぶり。
PUNPEEが9月13日、スペースシャワーがプロデュースするライブ配信サービスLIVEWIREにて生配信ライブ「Sofa Kingdomcome」を開催した。PUNPEEにとって実質2年ぶりのワンマンライブ。ファンの期待値は相当高まっていたことだろう。そんななか、観客の期待を上回るだけでなく、配信ライブの在り方を大幅に更新するパフォーマンスをしてみせるのがPUNPEEという人物。驚きに満ちた1時間だった。
初めに映ったのは赤のオープンカーに掛けられた時計で、長針が頂上に達したところでライブがスタート。カメラが引くと、車が停まっているのが渋谷・マンハッタンレコーズであることが判明。そこにPUNPEEが自転車で登場し、歩きながらラップする彼の姿を一台のカメラが追っていった。こうしてまさかのゲリラライブ方式で配信はスタート。この間に披露されたのは、「P.U.N.P. (Communication)」と「Renaissance」の2曲。

ゴール地点はライブハウス・WWWX。検温や消毒をしっかり済ませたあと、DJの原島”ど真ん中”宙芳、DJ ZAIが待つステージにPUNPEEが合流した。そこからは、「The Sofakingdom VR」、「夢追人 feat. KREVA」と『The Sofakingdom』収録曲が続く。なお、「夢追人 feat. KREVA」のKREVA歌唱部ではMVの映像と音声が流された(PUNPEE曰く「KREVAさんデジタル出演」)。その後のフリースタイルでは、配信ライブに臨む心境、変わってしまった世界の中で自分たちなりに活路を見出していくのだという意志がマイクに乗せられる。フリースタイル中は、DJ陣のスクラッチに合わせて、電流の映像エフェクトがかかるという配信ならではの演出も。さらに、「BUDDY feat. PUNPEE」(ラッパーのBIMがPUNPEEを客演に迎えて制作した曲)では紙のようにペラペラになったBIMのARが登場。直後にBIM本人が登場し、ARが空へ吹っ飛んでいくというオチもあった。カメラに向かって息の合ったパフォーマンスを見せるPUNPEEとBIM。終盤では「いつものやろう」「ちょっと恥ずかしい」と言いながら、ボックスステップを踏むお茶目さも。

ソファのあるスペースに移動してからのMCでは、BIMが、配信ライブの”先輩”として視聴者からのコメントを読むといいとアドバイス。
BIMが去ると、ムーディーなサウンドがフェードイン。「夜を使いはたして feat. PUNPEE」からライブが再開した。「GIZMO (Future Foundation)」ではARによってフロアに観客が出現。ライブハウスの”密”な光景が再現されたかと思いきや、リリックに合わせてタクシーが登場。ステージがナイトサファリに変貌し、突如水没し(溺れたような歌い方をする場面も)、宇宙が広がり……と、怒涛の展開を見せた。次の「タイムマシーンにのって」では、PUNPEEたちの背後に映像が映り、そこにある赤い車の形をしたタイムマシーン、海中時計などがやがてスクリーンから飛び出してくる。そうして生まれた時空間と、同じくARによって再現された板橋駅前を模した仮想空間を行き来しながら、同曲は披露された。この2曲での演出に関しては、文字で説明しても分かりづらいと思うので、できればアーカイブ配信を観てほしい。PUNPEEが自身の楽曲やアートワークを通じて表現してきた空想上の世界が、ついに現実に現れたかのようでグッときた。

「楽しくやっていきましょう。今の状況をポジティブに捉えて」というのがこの日最も伝えたかったことであろう。
ライブのチケットは9月20日(日)21:00までLIVEWIRE WEBサイトで購入可能。チケット購入者は9月20日(日)23:59までアーカイブ配信を視聴することができるので、ぜひお見逃しなく。
テキスト:蜂須賀ちなみ
写真:横山純
<ライブ情報>
LIVEWIRE PUNPEE
「Sofa Kingdomcome」
開催日:2020年9月13日(日)
アーカイブ配信日時:2020年9月20日(日)23:59まで
配信チケット:2020年9月20日(日)21:00までLIVEWIRE WEBサイトで購入可能
WEB : livewire.jp