【画像を見る】ビリー・アイリッシュ ローリングストーン撮り下ろし(全8点)
恋の傷跡、人間関係の痛み
冷めきった愛の終わりを描くようにゆっくりと始まり、やがて激しいエレキギターのサウンドが響き渡るタイトル曲は、本作のセッションで最初に取り組んだ曲であり、彼女が生き生きとしていたというヨーロッパツアーの最中に生まれた。他の曲群とは趣の異なるカタルシスを有し、セクシーでエレクトロニックなビートとフォークの温もりを行き来するような初期の作風を思わせる。どの曲も繊細かつ官能的であり、むき出しの脆さと自らの身を守るという決意の狭間で、彼女が揺れ動いているのがわかる。
私生活について一切明かさないという姿勢を保ち続けている彼女にとって、真摯な思いを曲にすることは決して容易ではなかった。「付き合ってきた人は2人」。彼女はそう話す。「ものすごく多くのことを経験した。でも、私は本当にリアルで当たり前の何かを知らない」。今年前半にApple TVで公開されたドキュメンタリー『ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている』に対するメディアとファンの反応を見て、彼女は新曲群に登場する人物など、具体的なことを明かさないことに決めた。「『君はアーティストなんだから、発表した作品についてより多くを知りたいっていうファンの要望に応えるのは当然だ』なんて言われるけど、そんなのおかしい」。彼女はそう話す。「『あなたと共有するのはこれだけ。他は私の頭の中にしまっておく』っていう私の決断は、尊重されるべきだと思う」