ビートルズの音楽は、他のバンドにはないエモーショナルな力を持っている。
だからこの曲で、ジョン・レノンがギターをかき鳴らし、悲しいアコースティック・バラードとして歌っているのは、本当にショッキングなことだと言える。10月28日に世界同時発売される『Revolver』スーパー・デラックス・エディションに収録されるこのテイクは、最大の驚きのひとつだ。「イエロー・サブマリン」に感情的な深みを期待した人などいるだろうか?
今回のスーパー・デラックス・エディションに収録されている多くの未発表曲と同様、この「イエロー・サブマリン」もまた、彼らについて知っているつもりになっていたことをすべて考え直させるものだ。『Revolver』でビートルズが自分たちのコンフォートゾーンから飛び出し、どこまでも実験することを望んでいたことのは明らかだ。「このアルバムは全体を通じて、彼らが『よし、今までとまったく違うものにしようぜ 』と言っているような作品だ」と、新バージョンのプロデューサーで、オリジナル・プロデューサー、ジョージ・マーティンの息子であるジャイルズ・マーティンは語る。「これは、すべてを吹き飛ばすニトログリセリンだったんだ」
今回公開された「イエロー・サブマリン」のデモは、ブートレグで世に出たこともなければ、筋金入りのビートルマニアの間でさえ噂になったことはない。ジョンはこの曲を、フォーキーなギターのピッキングに乗せて、”僕が生まれた場所では/誰も気にかけてくれなかった/僕が生まれた名前も/誰も気にかけてくれなかった"と哀愁漂う告白のように歌っている。「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』や「ディア・プルーデンス」「ジュリア」に通じる、幼い頃の辛い思い出を打ち明けているような手触りだ。『ホワイト・アルバム』や『ジョンの魂』に収録されていてもおかしくない。
「イエロー・サブマリン」ジョンとポールの証言
誰もが口ずさめる普遍的なコーラスを書いたのはポール・マッカートニーだが、そもそもあのジョンが「イエロー・サブマリン」にここまで深く関わっていたというだけでも衝撃的だ。「アウトテイクを確認し始めるまで、まったく知らなかった」とマーティンは述懐する。「これはレノン=マッカートニーの曲だったんだ。ポールに言ったよ、『今までずっと、あなたが書いてリンゴに渡した曲だと思っていました」って。全然そうじゃなかったんだ。
世界中のリスナーがこの曲を、いつも子供たちの人気者であるリンゴ・スターのショーケースとして認知している。ポールが今回のリイシューに寄せた序文で振り返っているように。「ある薄明の夜、居眠りする前にベッドで横になっていると、リンゴに似合いそうな、それと同時に当時の熱狂的な雰囲気を取り入れた曲を思いついた。”イエロー・サブマリン”ーードラッグの影響を受けた子供向けの歌で、リンゴは今でもこの歌で聴衆を驚かせている」
しかし実際には、「A Day in the Life」や「We Can Work It Out」のように、ジョンとポールが個別の断片を完璧な曲へと昇華させたケースだった。彼らは1966年、「イエロー・サブマリン」でアイヴァー・ノヴェロ賞を受賞したときのラジオ・インタビューで、この曲の由来を語っている。「僕が”サブマリン”について覚えているのは……」とジョンはポールに言った。「コーラスの部分は、君が一緒に加わってくれたんだ。
この曲は昨日10月21日に公開された、2つの『Revolver』アウトテイクのうちの1つである。もう1曲は、Stax調のメンフィスR&Bに挑戦した「Got To Get You Into My Life」の、素晴らしくハイエナジーな初期バージョン。ジョージ・ハリスンがファズトーンのギターでフックを弾いており、ガレージバンドのような雰囲気だ。
しかし、今回の「イエロー・サブマリン」こそ、まったく新しい旅へといざなう曲だ。ボックス・セットに収録された別のテイクでは、エバリー・ブラザーズのようなハーモニー・デュエットとして一緒に歌っている。ポールは、自分の仲間がパーソナルゾーンの奥深くに入り込んでいることを認識し、必要なだけの余裕を与えて、手を引いているのがわかる。ジョンがこの曲で弱音を吐き、それをポールに渡してリンゴのヒット曲に作り変えたと思うと、呆気にとられる。多くの美しいビートルズの物語が、この一曲に集約されている。60年近くも聴かれることなく保管されていた、この小さな断片には、ビートルズ独自のケミストリーが凝縮されている。
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From Rolling Stone US.
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