2020年9月に結成、高校の同級生で結成した柳澤律希(Vo.Gt.)、けんた(Gt.)、ハヤト(Dr.)、かず(Ba.)からなる4人組ロックバンド・ケプラ。2021年7月にリリースした1stミニアルバム『デイズオブ ユース』の収録曲「これからのこと」がTikTokで話題を集め、一気に音楽シーンにおいて注目を集めた。
2023年9月1日(金)に新たにリリースする2ndミニアルバム『This is 未来』では、アルバムタイトルが示す通り、これからの音楽シーンの「未来」を自分たちが切り開いていく、という強い意思が込められた新曲5曲がパッケージされている。今回のインタビューでは、彼らのルーツについて、そして彼らの新境地と言える今作の制作について話を訊いた。

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ーケプラは同じ高校の軽音楽部で結成されたんですよね。

柳澤律希:東京都中野区にある鷺宮高校という高校で出会ったんですけど、そこは元々軽音楽部が盛んな学校だったんです。4人とも高校では音楽をやりたいっていう意思はあって。そこから軽音楽部という枠を超えて、もっと多くの人に音楽を届けたいなと思い始めて、ケプラを結成しました。


ーケプラを結成した時点から将来的にはプロとして世に出たいと考えていたんですか?

柳澤:ミュージックビデオを作ったり自分たちのCD出したりして、少しずつ有名になっていきたいねって話はしていました。

ーバンドで活動をやり始めた頃に、「これいけるかも」みたいな自信に繋がった楽曲ってありますか?

柳澤:ケプラを結成して1番最初のオリジナル曲「デイズ」は、Eggsっていう音楽配信サイトに1番最初に上げた曲で、高校最後にリリースした曲でもあるので、僕自身は一番思い入れが強いですね。

ハヤト:バンドを組んで間もない時期は今後どういう曲を作ってくのかが定まっていなかったんですけど、「デイズ」ができてケプラの方向性がガチっと固まった感じはありました。これからこういうみんなを元気づけられるような曲を作っていくんだろうなって。

ー前作の1stEP収録曲「これからのこと」がTikTokなどSNSで話題を集めたことがきっかけとなりバンドが大きく飛躍したと思うのですが、そこら辺はご本人としてはどのように感じていますか?

柳澤:「これからのこと」は「デイズ」の次にEggsに上げた曲で、高校2年生の時に作った曲なんです。でも正直この曲は当時どういう思いで作詞作曲したのかはあまり覚えていなくて。
やっぱりあれだけの多くの人に聴いてもらえた曲で、ケプラをここまで大きくしてくれた曲の1つでは絶対にあるから、みんなの期待に応えないといけないって不安はずっとありました。だからこそ今回の2ndミニアルバムも絶対にそこを超えてやるぞっていう強い意志みたいなものはありました。

ー前作のEPをリリースした高校生の頃と今とでは曲作りに対して何か心境の変化はありましたか?

柳澤:あの時よりもできることが多くなっているとは思います。それが良いのか悪いのかは分からないんですけど、今の自分たちがやりたいことをやっていければいいと思っているんで、そういう意味で今回のミニアルバムは自分たちの中ですごくしっくりきました。

ーみなさんにとってルーツとなる音楽を教えて欲しいです。

けんた:僕はヨルシカが好きで、特にギターフレーズは参考にしています。
あとはボーカロイドの曲から来たフレーズとかも自分の中の引き出しにしていますね、

ーボーカロイドを使うアーティストさんのギターってかなり緻密でテクニカルなフレーズが多いですよね。

けんた:そうですね。律希と同じコードを重ねるというより、別の軸でメロディアスなフレーズを弾くのが好きです。

ー高校からそういったジャンルの音楽が好きになったんですか?

けんた:ギター始めてからハマりました。それまではMr.ChildrenとかSEAKAI NO OWARIを聴いていたんでギターを始めてから聴くジャンルが変わりましたね。

ー律希さんのルーツは何ですか?

柳澤:最初に音楽と出会ったきっかけがback numberですね。
小学5年生の時、母親のiPodの中にback numberの「半透明人間」って曲が1曲だけ入っていて。当時通っていた塾の行き帰りずっとその1曲だけを何回もエンドレスで聴いていました。それからもっと色んな曲が聴きたいと思って自分でアルバムを買ったりしていました。今でも影響受けているなと自分でも感じる瞬間は多いです。

ーどういった部分からback numberの影響を感じるんですか?

柳澤:どこまで行っても「歌を届けたい」っていう意識が僕の中にあるんです。back numberってどの曲も歌を届けることが大前提にあって、音楽の作り方がぶれてないなと思いますね。


ー自分が音楽をやる側になってから聴くようになったジャンルは何かありますか?

柳澤:高校で軽音楽部に所属してからは先輩の影響でインディーズのミュージシャンとか、今まで絶対聴いてこなかったようなジャンルの音楽にも触れてきました。そういうところから音作りの参考にしていると思います。

ーそういう音作りの引き出しは、高校でコピーバンドをやっていく中で広がっていったんですか?

柳澤:ケプラを組んでから実はコピーをあまりしたことがなくて。それこそバンドに興味を持ったのが軽音楽部に入ってからでそれまでは歌謡曲とか歌モノばかり聴いていましたね。

ーハヤトさんはどういった音楽を聴いていたんですか?

ハヤト:小学校ぐらいの時に聴いて初めてこのバンド好きだなって認識したのは、SEAKAI NO OWARIでしたね。今思えば幼稚園の頃から父親がカラオケでブルーハーツを歌っているのを聴いたりしていて、その頃からバンド好きだったなって思います。
あと車の中にはファンモンとかGReeeeNがかかっていたり、J-POPにはずっと触れてきましたね。そこから中学、高校になってRADWIMPSを聴くようになって自分もバンドをやってみたいと思うようになりました。

ー幼稚園でブルーハーツを聴いていたとはめちゃくちゃ早熟ですね!

ハヤト:父親が「TRAIN-TRAIN」をカラオケで歌っていてめちゃくちゃかっこいいなと思って、自分でもカラオケで歌ったりしていましたね。結構そういうのは鮮明に覚えています。他にも親がカラオケで歌っていたシリーズで、アンジェラ・アキの「手紙」とかは良い曲だなと思って聴いていました。

ー今回2年ぶりとなる新作『This is 未来』では、サウンドやアレンジに関して今までのケプラにはないアプローチが見られる曲が多く収録されていますよね。そういったケプラの確かな進化を感じることができる一作になっていると思います。このタイトルや曲名にもある「未来」という言葉をテーマを持ってきたのには何か理由があるんですか?

ハヤト:最後の曲に「未来で逢いたい」って曲が入っているんですけど、曲名が先に決まっていたわけではなくて。それ以外の4曲の曲名が決まったところで、5曲目はなかなか題名が決まらなかったんですよ。なんで先にミニアルバムのタイトルを考えることにして。みんなで話し合っていく中で、ケプラにしかできないような「これぞケプラだ!」って思えるような5曲になったら最高だよねって話になって。それで最初『This is 世界』みたいなタイトル案が出たんですけど、それは違うなってことで『This is 未来』になりました。自分たちの未来にもこの曲があったらいいし、僕らとファンの関係を未来にまで繋げてくれるようなミニアルバムになればいいなとも思ってこのタイトルをつけました。

ーケプラの未来を期待させてくれるミニアルバムという意味でもこのタイトルはしっくりきますね。

柳澤:このアルバムが僕らの未来を切り開くような存在になってくれればいいなとは思いますね。これまでの自分たちの知識や経験をフル活用して作ったミニアルバムなので、今後の自分たちの道を照らしてくれるような作品になったらいいなと思います。

ー1曲目「OUR-AWA-HOUR!!」は疾走感あふれるロックチューンになっていて、恋愛とお風呂を掛け合わせた歌詞がすごく面白くて印象的ですよね。

柳澤:この曲は僕がお風呂に入っている時にできた曲なんです。この時期ちょうど長風呂するのにハマっていて。最初にサビかAメロがパッと思いつきで浮かんできて、そのままお風呂の中で全部作りましたね。タイトルを決める時にハヤトが「泡ってOURとかHOURにも掛けられるよね」言い出して。

ハヤト:全部響きがアワじゃんって思って(笑)。最初「AWA TIME」ってタイトルにしようと思って「私たちの時間」って意味にもなるしお風呂とも掛けられるってことで。でもよく考えたら「AWA TIME」ってダサいなって思って(笑)。そこからTimeもHourにしたら全部アワになるじゃんって思って、そのままのノリで「OUR-AWA-HOUR!!」って付けました。

柳澤:でも歌詞だけ見ると結構切ない曲なんですよ。お風呂で歌詞が全部浮かんできたのは不思議な体験でした。いつもはちゃんと作ろうと思って作ったり、電車に乗っている時に思いついたりはするんですけどお風呂の中は初めてでした。

ー2曲目の「プラン B」では、カウベルやタンバリンが入っていたりギターのフレーズとかが全体的にカントリーっぽいアレンジの曲になっていますよね。

柳澤:この曲はケプラの引き出しをさらに広げてくれた楽曲だと思っています。今までケプラはこうあるべきだって枠に囚われていた部分があって。でもこのミニアルバムを作ってく中でケプラってどこまでやってもケプラなんだなって思えたというか。この曲はカントリーっぽくしようと思って作ったわけじゃなくて、それぞれの曲に対して最適なアプローチをしていく中でだんだんこういうアレンジに近づいていったんです。最終的にこのアレンジで落ち着いた時に、こんなにサウンドも入っている楽器も違うのにケプラっていうものが根本的にはちゃんと残っていたんですよね。この曲をきっかけにもっとやっていいんだって思えて、その後に作った曲もその曲に寄り添った最適なアレンジができたかなって思います。

ー「プラン B」の歌詞からは、主人公の不器用だけどどこまでもピュアな恋心が伝わってきますね。

柳澤:ストーカーチックで独占欲の強い主人公が多分いて、その主人公が好きな女の子は別に自分のことは好きじゃなくて他に別の人がいて絶対に実らない恋。もっともっと強引に行きたいけど、結局できないっていう曲ですね。

ー3曲目の「かさねる」はアコギから始まるメロウなバラードとなっていますが、この曲にはどういったメッセージが込められているのですか?

柳澤:この曲は、実は1番早い段階で僕がメンバーに送っていた曲なんです。1年前くらいに1度ライブでもやったことのある曲なんですけど、その時はまだしっくりきてない部分が自分の中であって。当時僕はエレキギターをこの曲では弾いていたんですけど、一旦寝かせておいて今回のミニアルバムを制作する話が出た時に、今の自分たちだったらもっと良く表現できるかもしれないなと思って再アレンジした曲です。それでギターをアコギに変えたり、あとレコーディングやミックスでは極力壮大になりすぎないように引き算を意識しましたね。

ー盛り上げすぎないことで歌詞の世界観にも合っているアレンジになっていますよね。

柳澤:曲の意味的には、一人で歩く家までの帰り道でちょっと昔の恋を思い出しているって感じになっている。そういう繊細な部分にアプローチできたなって思いますね。

ーコードのアレンジに意外とトリッキーな部分がありますよね。

柳澤:結構転調するんですよ。転調する曲を作ってくるとけんたが嫌がるよね(笑)。

けんた:嫌です(笑)、すごく作りにくいんで。

ー(笑)。確かに弦はポジション覚えるのとかが大変そうですよね。曲作りは律希さんが送ってきた弾き語りのデモを元にスタジオで合わせる時にどういったことを意識しながら自分が出す音を探っていくんですか?

ハヤト:スタジオで律希の歌い方だったり、けんたのギターフレーズだったり他のメンバーの空気感をお互いに見合いながら少しずつ探っていきますね。みんなのアレンジがちょうど均衡するところを狙っていくような作業をしていますね。一発で決めるっていうよりかは結構時間をかけて進めていく感じですね。

けんた:僕もとりあえず家でギターフレーズを作るんですけど、スタジオでみんなと合わせながら探っていきますね。僕の中でやっぱ律希の歌を1番大事にしたいので、邪魔だなって思ったところはどんどん引いていく感じですね。

ー4曲目の「噂のツインズ」は遊び心が散りばめられていて聴いていてとてもワクワクします。中盤にあるギターソロの前にビートルズオーマージュっぽいコーラスが入ってくるのも好きです。この曲の制作はどのように行われたんですか?

柳澤:元々4曲目は全然違う曲が入ろうとしいたんですけど、それだと「未来」っていうメッセージにしっくりこなくて。レコーディングも進んでいる中どうしようってなった時に僕が急遽この曲で行きたいって言ったのが「噂のツインズ」だったんです。だからそれに合わせてみんなも急ピッチで1週間くらいでこの曲を仕上げてくれて。きっと「プラン B」や「かさねる」を通してその曲に合ったアレンジができるようになったからこそ、ここまで遊んでいるのにケプラらしい曲になったんじゃないかなと思います。

ハヤト:「噂のツインズ」は時間ない中でも楽しみながら作れた曲でした。楽器も持たずに口伝えでアレンジとか構成を確認して、そのまますぐスタジオで合わせて作っていく感じでした。最後にできた「未来で逢いたい」とは対照的な曲になっていると思います。「未来で逢いたい」は曲があったんだけどアレンジがなかなか決まらなくて、「噂のツインズ」は割とすんなりしっくりくるアレンジに辿り着きましたね。

ーラストの曲「未来で逢いたい」はこれまでのケプラにはなかったオルタナなアレンジになっていて、ロックバンド・ケプラとしての新境地を象徴しているような楽曲だなと感じました。

柳澤:その前の4曲がそれぞれの色がすごく出た曲になったので、最後にどんな曲を持ってくればこのアルバムをまとめられるだろうということを意識して作りましたね。だからこそなかなか決まらなかったし、妥協もしたくなかった中で生まれた曲です。本当にできた時はほっとしましたね。僕らをまだ知らない人たち、知ってくれて応援してくれている人たちと僕らを、これから先の未来のどこかでこの曲が結びつけてくれるんじゃないかなって思っています。

ー「未来で逢いたい」ができた時がやはり一番手応えを感じましたか?

柳澤:はい。諦めないで良かったなって思いました。

ハヤト:歌詞、アレンジ、構成とかも本当にギリギリまで全く違っていて、最後の最後までめちゃくちゃみんなで意見を出し合って作りましたね。あとメンバーだけじゃなくてチーム全員で意見を出し合って作っていった曲なのでそれが形になった時は、この曲にはちょっと別格なパワーがあるなとは感じましたね。

ー作っていく中で具体的にはどういう意見を出し合っていったんですか?

ハヤト:サビの歌詞が違うんじゃないかとか、ここにギターソロが入るのは違うとか、間奏はいらないとか。最後に入ってくるメロディーも元々はサビのメロディーの候補としてあったものだったんです。どっちをサビのメロディーにしようかって話になった時に、最後にこのメロディーを持ってくればいいじゃんってことでこうなりました。

ーどこか懐かしい雰囲気とケプラにしか出せない新しさが共存しているような楽曲ですよね。

ハヤト:僕らのルーツからしても全員が共通して良いって思える音楽は割と古めのものが多かったりするので、それがケプラの曲にも出ていて懐かしいって感じてもらえるのかもしれないですね。

ー今作のミニアルバムを経て、今後ケプラが目指していきたいバンド像ってありますか?

柳澤:僕らは高校の軽音楽部でバンドを組んでからずっとこの4人っていうのを大事にしていて。4人が楽しくやれなかったら意味ないし、この4人じゃないとダメだなって思いますね。単純に大きいところでライブしたいって思いはずっとあるんですけど、それが最終目標や夢ではなくて、この4人の雰囲気や空気感が世間に伝わっていったらすごく嬉しいなと思いますね。

ーケプラと同世代のバンドやミュージシャンで、リスペクトしている方や意識している方は誰かいますか?

ハヤト:ねぐせ。は僕らと年齢も近くて、同じくらいのキャリアってこともあって「一緒に頑張っていこうね」みたいに話していたら結構すごいところまでいったんで悔しいなって思いましたね。だからねぐせ。に追いつけ追い越せぐらいの気持ちでやっていこうとはよく僕らで話しています。あとヤングスキニーも高校生の時に僕らのイベントに出てもらったりして、僕らも負けてられないなとは話していますね。

ー最後に9月10月11月に行われるリリースイベント、レコ発ツアーに対する意気込みを教えていただけますか?

柳澤:前作の『デイズ オブ ユース』の時はレコ発のインストアライブをやったんですけど、今回は初めてのレコ発ツアーということで東名阪福を回らせていただきます。各地のお客さんとどういう風に向き合っていくのかをしっかり示していきたいですね。

<リリース情報>

ケプラが語る4人の絆、「未来」を切り開くために完成させた新境地


ケプラ
『This is 未来』
発売中
価格:1800円(税込)
=収録曲=
1. OUR-AWA-HOUR!!
2. プラン B
3. かさねる
4. 噂のツインズ
5. 未来で逢いたい

<ライブ情報>

ケプラ presents 『ヤツハシピーナッツオータム』
2023年9月24日(日)福岡 京都磔磔(完売)
出演:ケプラ / ammo

2023年10月3日(火)千葉LOOK(完売)
出演:ケプラ / moon drop

ケプラ2nd Mini Album「This is 未来」リリースツアー
『GAGARIN TOUR 2023』
2023年10月29日(日)福岡 Queblick(完売)
出演:ケプラ / 35.7

2023年11月4日(土)名古屋 CLUB UPSET(完売)
出演:ケプラ / シンガーズハイ

2023年11月11日(土)梅田 Shangri-La
出演:ケプラ / ペルシカリア

2023年11月16日(木)渋谷 WWW(完売)
出演:ケプラ / ズーカラデル

Official HP:http://kepura.com/