Goldfish=金魚という夏のモチーフに、過ぎ去った盛夏の思い出が去来する。
今では、Bon IverやThe National、FKA Twigsの楽曲が並んだ、メランコリーな深夜のドライブに馴染むプレイリストに「Goldfish feat.Raine」も仲間入りしている。USやUKの楽曲とクロスフェードさせて再生しても、まったく違和感を感じさせないのは、Kenta Dedachi本人や楽曲制作のインターナショナルなバックグラウンドに理由があるのかもしれない。Kenta Dedachiは、アメリカ西海岸のネイティブな空気を思いっきり吸い込んだ23歳のシンガーソングライター。その感性は、LAと日本の双方のカルチャーに根ざしている。
そんな固定概念にとらわれない感性をもったKentaが今年の春にリリースした「Id hate 2 B a girl like U」で楽曲制作のパートナーに選んだのは、US西海岸のインディーズシーンを牽引する音楽集団Scary Pockets。
実際楽曲を聴いてみると、ふたりのボーカルワークは、単に美しいというだけでなく、どこか祈りにも似た神聖さを纏っているように感じる。「Goldfish feat.Raine」に漂う耽美的で高潔な手触りは、Kentaのアンニュイさと芯の強さを両立した歌声にRaineの艶やかなコーラスがレイヤードされるときに魔法のように立ち上がるのだ。このように多彩な才能に刺激され昇華したこの楽曲。それでも作詞については、Kentaが自分自身と一対一で向きあったパーソナルスペースである。英語詞と日本詞の入り混じる汽水域のような語感の絶妙なバランス感覚は、メロディに対して当てはめる最適な言葉を探求し続けた結果だろう。楽曲タイトルになっている「Goldfish」「金魚」だけでなく「流れる」「Underwater」「Pool」のようなメタファー的に捉えることができそうな「水」に関するワードや「金色の空」「Golden hour」「紅葉色」といったパラフレーズされた色彩描写を拾い上げると、Kentaの詞世界が映画のワンシーンのごとく立体的に浮かび上がってくる。
前作の「Id hate 2 B a girl like U」や前々作で「Hunger for Blood」では、内省世界に深く潜り込み、内臓をひっくり返すような露わな感情表現に挑戦したKenta。今作では、自分のなかにひそむ「弱さ」や「醜さ」の存在を認めたうえで、それでも避けることのできない「痛み」や「孤独」と対峙することを選んだ。
【関連記事】Kenta Dedachiが語る、スケアリー・ポケッツとの制作、LAの大学生活で見つけた「歌うべきこと」
<INFORAMTION>

「Goldfish feat. Raine」
Kenta Dedachi
配信中
https://kentadedachi.lnk.to/rrU1tQ
Acoustic Live ”Cozy notes” Tour
10月7日(土) 宮城 仙台retro BackPage
OPEN 17:30 / START 18:00
10月8日(日) 北海道 札幌くう
OPEN 17:30 / START 18:00
10月14日(土) 京都 紫明会館
OPEN 17:00 / START 17:30
10月15日(日) 愛知 名古屋BL café
OPEN 17:30 / START 18:00
11月3日(金祝) 福岡 ROOMS
OPEN 17:30 / START 18:00
ALL-IN JAM with Ryu Matsuyama
12月1日(金) 大阪 梅田TRAD
12月10日(日) 東京 恵比寿LIQUID ROOM
OPEN 16:00 / START 17:00 (大阪・東京共通)
オフィシャルHP : https://www.kentadedachi.com