物語や映像と親和性が高い4アーティストを集め、4つの短編映画を観るように楽しむ。そんなユニークな趣旨のフリーライブイベント『Feel at Home Episode.1”TOKYO”Chapter Presented by FM FUKUOKA「心にドラマを見せてくれる4つの音楽」』が、2025年7月10日(木)に東京・渋谷WWW Xで開催。
豪雨が降り注ぐ悪天候にもかかわらず、会場にはたくさんのオーディエンスが詰めかけた。

九州は福岡から熱い音楽を発信し続け、6月で開局55周年を迎えたFM FUKUOKA。そのカッコよさを東京で伝えたいという目的もあり、同ラジオ局の協力のもと、記念すべき第1回には、ニイナ、ウソツキ、CROWN HEAD、irienchyが出演。

ちなみに、ニイナは『恋の郵便ポスト』、irienchyのボーカル&ギターの宮原颯は『宮原颯と小川紘輔の、まだ起きとーばい』で、それぞれレギュラーパーソナリティを担当。FM FUKUOKAに縁が深いメンツ、SNS世代に人気のアクトが揃った上、登場時はチューリップの「博多っ子純情」とともに各アーティストの福岡エピソードがジングル映像で流れたり、転換中は宮原が影ナレで主催者と和やかなトークを繰り広げたり、とても愛のある温かいイベントになっていたと思う。

【画像】irienchy、CROWN HEAD、ウソツキ、ニイナのライブ(全27枚)

福岡県北九州市出身のシンガーソングライター、ニイナ

トップバッターを務めたのは、ニイナ。ネクストブレイクが期待される、福岡県北九州市出身のシンガーソングライターだ。

irienchy、CROWN HEAD、ウソツキ、ニイナが奏でた短編映画を観るように楽しむ一夜

ニイナ

バンド編成でステージに立った彼は、2人のもどかしい関係を綴った「恋人(仮)」、別れた相手のことが忘れられずに思い悩む「私ばっかりバカみたい!」と、女性目線で切ない心模様を歌い上げ、早くも持ち味をアピール。

「僕はいつも恋愛を歌っているんですけど、今の気持ちとか、誰かに会いたいとか、身近なことを曲にしています。ラジオだとリスナーの顔は見えなかったりするから、こうやって直接みなさんに会えるのが本当に嬉しいです!」

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ニイナ

SNSでバズった代表曲「ダーリン」、後悔の念が滲む失恋バラード「ソヴァージュ」を通し、甘いファルセットはますます冴えわたる。地元・福岡の話や本イベントに誘ってもらった喜びに触れつつ、「普通に生きていても特別なことはなかなか起きないけど、音楽にはそれを変える力があって、すごく心にドラマを見せてくれると思っています」と語るシーンも。

その後は、ライブ初披露となったポップな新曲で魅了。
6月にリリースされたラブリーなサマーチューン「夏の魔法」、”君といたい”というピュアな気持ちを爽やかに表現した「リンス」がフロアをキラキラと明るく彩り、抜群の共感性で大きなインパクトを残す。きっと一目惚れのように、ニイナの音楽は多くの来場者に響いたのではないだろうか。

”恋を科学するアーティスト”、竹田昌和のソロプロジェクト・ウソツキ

”恋を科学するアーティスト”と謳う竹田昌和のソロプロジェクト、ウソツキの演奏も素晴らしい。おなじみの白衣を纏って登場し、ニイナに負けじと中毒性の高いラブソングを次々に放出。

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ウソツキ

割り切れない感情が”君が好き”の解に辿り着く「恋学者」から、恋の賞味期限に抗って永遠を信じる「一生分のラブレター」へと繋ぎ、3ピースのバンドアンサンブルに乗せたグッドメロディが広がっていく。

「夏の亡霊」では、トロピカルで浮遊感のあるサウンドとセンチメンタルな詞世界に酔いしれ、オーディエンスが気持ちよさそうに身体を揺らしていた。

竹田は「さっき物販にいたら、インスタライブ(3日前に宮原とコラボ配信)を観たirienchyのお客さんが来てくれてね。天使かと思うくらい、むっちゃいい人たちでした!」とイベントの温かいムードを伝える。愛の告白に対し”気のせいです”と返されたエピソードが下地にあるという「名もなき感情」のあとは、生きざまが見える熱い言葉も飛び出す。

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ウソツキ

「ウソツキはもともと4人組だったけど、今は1人になりました。最初に目指した夢、Zeppワンマンが諦められないので、俺は勝負に出ます!」と、まずは下北沢シャングリラでの単独公演挑戦を宣言。その想いを「ミライドライバー」に注ぎ、締めで鮮烈な印象を残した。
11月15日(土)に開催される決意のライブ『USOTSUKA NIGHT WONDERLAND』もぜひチェックしてほしい。

日韓混合バンドのCROWN HEAD

続いては、日韓混合バンドのCROWN HEAD。結成わずか4カ月のキャリアながら、すでにメジャーデビューを果たし、タイアップ曲も担うなど、ポテンシャルの高さで話題を集めている。

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CROWN HEAD

1stシングル曲「Hidden」から、Moto(Vo)とLumel(Ba&Vo)のツインボーカルを軸にタイトなロックを轟かせ、hiroto(Gu)とTasuku(Dr)も激しいアクションで躍動。”ハイチーズ”の歌詞を含む「Cheese」は、オーディエンスに撮影OKを呼びかけ、メンバーのイラストを映像で使い、アイドルのような人懐っこさまで発揮。この日が3回目のライブとは思えない堂々たるパフォーマンスだ。

「福岡出身じゃない僕らを呼んでいただき、雨がすごい中で来てくださり、本当にありがとうございます。後悔させないよう、しっかり盛り上げていきますので!」

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CROWN HEAD

Motoが気合十分に告げ、TVアニメ『転生宗主の覇道譚 ~すべてを呑み込むサカナと這い上がる~』(Tasukuがタイトルを早口でコール!)オープニングテーマとなった2ndシングル曲「鬼灯」を、真っ赤に染まったステージで披露。海や空の青い映像が目を惹いた「ブルーシンドローム」との対比も美しい。

駅のホームを舞台にした哀愁たっぷりなバラード「ベル」、恐れずに前へ進む意志を歌った「Climbing」と、スケールの大きいサウンドもドラマティックに届け、Motoは「今日ここに立ててよかったです!」と笑顔を見せた。なお、CROWN HEADは8月9日(土)に代官山SPACE ODDで2ndワンマンライブ『Red Riot』を行なう。

トリを飾った4人組ロックバンド、irienchy

そして『Feel at Home』初回のトリは、5月にメジャーデビューし上昇気流に乗っているirienchy。


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宮原颯

福岡出身の宮原颯(Vo&Gu)をはじめ、諒孟(Gu&Cho)、井口裕馬(Ba&Cho)、本多響平(Dr&Cho)が、その新たな幕開けを飾った「飛行船」で一斉にシンガロングすれば、屋外の雨さえカラッと晴らせそうな、彼ら特有のハッピーなオーラがすぐさまフロアを包み込む。

ハッピーとはいえ、声高にポジティブを叫ぶバンドではない。諒孟が得意の背面ギターソロを決めた「スーパーヒーロー」もそうだが、むしろネガティブな感情に寄り添って、弱い自分やハミ出し者を優しく肯定する。どん底から這い上がるイメージが湧くような、こうした稀有なアプローチこそが、熱いファンを増やし続けているのだと思う。

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諒孟

「入江さん(諒孟の苗字)のお家で組んだからirienchyです!」とオーディエンスに挨拶し、夏のナンバー「ヒトミシリ流星群」へ。綺麗な夜空と流れ星の映像をバックに聴かせた、この日限定のスペシャルな試みがたまらない。さらに、自分のことを大切にしてほしいと願った「最強のぼっち」、”どんな未来も君が生きていれば何も間違ってないから”と示す「ドリームキラー」(今度はカラフルでサイケなVJ発動!)が、人生というドラマの主人公は誰なのかを思い出させてくれる。

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井口裕馬

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本多響平

理想的なテンションのまま、宮原がハンドマイクで歌う「バイバイ」へなだれ込み、本日の出会いを存分に感謝した4人。アンコールは「春は嫌いだ」を切なくもダイナミックに演奏し、4つのドラマが共鳴するハートフルなイベントを大盛況のうちに締め括った。

『Feel at Home』は全国各地でも展開されていく予定とのことなので、Episode.2以降の動向に注目しよう。また、irienchyはメジャー2ndシングルのリリースパーティーを8月6日(水)に渋谷CLUB CRAWLで実施。結成6年目の今もライブの進化が著しいだけに見逃せない。
最後に、アンコールで宮原が語ったまとめのMCを書き残しておく。

「ニイナは共演経験があるけど、対バンをがっつりやるのは初めてでした。ウソツキの竹田さんとも、今回のイベントを通して仲良くなれたと思います。(すべてのライブを観ているという)CROWN HEADとは、くだらない話をずっとし合えるような関係性ですね。素敵なミュージシャンたち、来てくれたみなさんと出会えてよかったです!」

セットリスト
【ニイナ】
1.恋人(仮)
2.私ばっかりバカみたい!
3.ダーリン
4.ソヴァージュ
5.夏の魔法
6.リンス

【ウソツキ】
1.恋学者
2.一生分のラブレター
3.夏の亡霊
4.名もなき感情
5.ミライドライバー

【CROWN HEAD】
1.Hidden
2.Cheese
3.鬼灯
4.ブルーシンドローム
5.ベル
6.Climbing

【irienchy】
1.飛行船
2.スーパーヒーロー
3.ヒトミシリ流星群
4.最強のぼっち
5.ドリームキラー
6.バイバイ
En.春は嫌いだ
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