1999年の初開催以来、「Øya Festival」は持続可能性と多様性をテーマに掲げる革新的なフェスとして成長を続けてきた。出演アーティストはジェンダー50/50を実現し、会場運営は完全に化石燃料フリー。電力の98%を再生可能エネルギーで賄い、廃棄物の75%をリサイクルするなど、欧州フェスティバル・アワードやA Greener Festival Awardsでも高く評価されている。


気になるラインナップは?

今年のラインナップでは、世界中で話題をさらうポップ・アイコン、チャーリーXCXが登場。社会現象となった『BRAT』のサウンドを引っ提げて、フェスのサマーアンセムを響かせる。また、昨年出演キャンセルとなったQueens of the Stone Ageが待望のリベンジ出演を果たすほか、世界的クィア・ポップスターのチャペル・ローンもヘッドライナーを務める。
さらに、2ndアルバム『moisturizer』をリリースしたばかりのWet Leg、政治的なアティテュードでも注目を集める北アイルランド出身ヒップホップ・トリオKneecap、ジャスティン・ビーバーとのコラボでも注目を集めるMk.geeなど、今見ておきたい顔ぶれも揃っている。北欧のハイパーポップ・オルタナシーンを代表するYung LeanとBladeeが共演するステージも必見だ。
大トリは「地元出身」girl in red

今年の「Øya」で特に注目したいのが、最終日のヘッドライナーを務めるgirl in redことマリー・ウルヴェンだ。彼女はオスロ郊外の町ホーテン出身。今やノルウェーを代表するアーティストとなったが、デビュー当時の2018年にこのフェスで最も小さなステージである〈Biblioteket〉に出演しており、今回の出演は6年ぶりの凱旋となる。
girl in redは、2018年の『i wanna be your girlfriend』がSNSを通じてバイラルヒットし、2021年には、プロデューサーにフィニアス(ビリー・アイリッシュの兄)を迎えた1stアルバム『if i could make it go quiet』をリリース。
2010年代後半以降のノルウェー音楽史の中でも、最もグローバルに成功した存在のひとりである彼女が地元フェスティバルでの「最大ステージの最終日ヘッドライナー」という大役で凱旋する今回のステージは、地元ファンはもちろん、世界中から駆けつけるオーディエンスにとっても、特別な一夜になることは間違いない。
ノルウェーの次世代アーティストにも注目
「Øya」は、海外アクトだけでなく、ノルウェーの次世代アーティストにもスポットを当てる”登竜門”としても知られており、今年も、ジャンルを問わず多彩なローカル勢がラインナップされている。
Disney Music Publishingがアメリカ国外で初契約した新人RABOや、ジャズ×ヒップホップのクロスオーバーを奏でるGiddyGang & Vuyo、KvelertakのギタリストによるロックプロジェクトKing Hüskyなど、個性派揃い。さらに、感情豊かなポップで脚光を浴びるAnna Lille、爆発力を兼ね備えたライブで評価の高いHonningbarna、2020年のデビューアルバム『Qoyskayga』が注目を集めたソマリア系女性ラッパーMustiら、今後のシーンを担う注目株が勢揃いしている。
「Øya Festival」ノルウェー出身アーティストをまとめたプレイリスト
都市型フェスの理想形?
市街地からわずか10分の距離にあるTøyen Parkは、都市型フェスの理想とも言えるロケーション。来場者の98%が公共交通機関や自転車・徒歩でアクセスするというデータが示すように、環境負荷を極限まで抑えつつ、誰もが”日常からの飛躍”を体感できる空間がそこにある。
都会の公園が、5日間だけ”世界の音楽の中心”になるこのフェス。気候危機、文化の多様性、音楽の現在地──そのすべてが交錯する場として、今年も「Øya Festival」は、世界に問いを投げかける。


Øya Festival 2025
日程:2024年8月6日(水)~8月9日(土)
開催地:ノルウェー・オスロ Tøyenparken
チケット・詳細:https://www.oyafestivalen.no