BLMの背後にある「リアルな現実」。全米で30万部を突破した注目作『オール・アメリカン・ボーイズ』。
(C)Ben Fractenberg レノルズは、 2020年にわずか30代でアメリカの児童文学大使に就任した、 今最も注目されている若手作家。 自身も16歳のとき警官に言いがかりをつけられ、 手錠をかけられて路上に押し倒された経験があり、 その心の傷の深さが本作にもリアリティをもって描かれている。黒人少年ラシャドと、 白人少年クイン。 それぞれの立場で進むべき道を模索し続ける姿が丁寧に描かれ、 2人の感情に寄り添うことで、 読者はこの問題の背後にある複雑な社会の状況に少しずつ近づくことができる。 至極当然のことのように思える「黒人の命も大事」という言葉ですが、 長年の米国社会の構造が壁となり行動を起こせない現実もある––––それでも、 自分の胸に正直になろうとすることで勇気を持って動きはじめた人々、 今のBLM運動の背後を描いた小説だ。 また、 立場の弱い人間を軽んじるのは、 アメリカに限ったことではありません。
事件の当日からデモが行われるまでの8日間を、黒人作家のレノルズが黒人の少年ラシャドの視点から、白人作家のカイリーが白人の少年クインの視点から交互に描き、まさにアメリカの今を映し出す感動作。 株式会社偕成社は、 ニューヨークタイムズ・ベストセラー&全米で30万部を突破した話題作『オール・アメリカン・ボーイズ』を11月18日に翻訳刊行。黒人の少年ラシャドはポテトチップスを買いにいった店で万引きを疑われ、 白人の警官から激しい暴行を受け入院する。 それを目撃した白人の少年クインは、 その警官が友人の兄のポールだと気づき現場から逃げた。 事件の動画がテレビやネットで拡散し、 ラシャドとクインが通う高校では抗議のデモが計画され、 2人はそれぞれの人間関係の中で、 揺れ動く自分の心をみつめることになる。 事件の当日からデモが行われるまでの8日間を、 黒人作家のレノルズが黒人の少年ラシャドの視点から、 白人作家のカイリーが白人の少年クインの視点から交互に描き、 まさにアメリカの今を映し出す感動作。
2020年10月27日現在、 Amazon.comのレビュー数は2,024件で、 4.7 out of 5という高評価がついています。 BLM運動の活発化で再び注目されている作品でもある。 NetGalleyでサキヨミ公開しているゲラに、 多くの感想が届いている。NetGalley感想一覧はこちら。 「とても学びの多い本だった。 その中で最も強く思ったのは 、 自分のなかにある差別を認めようすることだ。
社会の差別に気づいても見ないふりをして、 なにもしないのは、 差別に加担しているのと同じだ。 これは、 よその国の黒人・白人の問題ではない。 わたしは、 在日外国人や自分と違う人たちに、 無意識に差別していることはないだろうか? まずは相手をよく理解すること、 そこから始めたい。 」「人種問題の深い闇は決して簡単には解決できないが、 私たち自身が、 同じ人間としてできること、 持たなければいけない勇気について考えさせられる作品 である。 」「SNSやフィクション、 ニュースで触れているBLMに関する点のような情報が、 線になって拡がって、 自分のところに降りてくるような物語 」「まるで、 実話のドキュメンタリーを見ているようだった。 (中略) 私たちの意識下にある差別を気づかせ、 みんなの問題として立ち上がらせている。
」
世界を理解するためだけではなく、 自分たちの身近にもある問題として考えてもらうためにも、 読んでもらいたい1冊。
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