先進国と発展途上国を分けるはっきりとした基準はないが、「平均収入」や「1人あたりGDP」が複数ある基準の1つに採用されるのは確かだ。中国は、日本のかつての高度経済成長期を彷彿とさせるような急速な発展を遂げ、すっかり豊かになったが、1人あたりGDPでは先進国には及ばない。記事は、1人あたりGDPで一般的に先進国と見なされるのは2万ドル(218万円)以上だが、中国はまだ1万ドル(約109万円)を超えた程度だと紹介、先進国との格差を指摘している。ちなみに、日本は4万ドル(約416万円)を超えている。
しかし記事は、中国の実力もなかなかのもので、見方を変えれば中国も部分的にはすでに「先進国」ならぬ「先進地域」になっていると主張した。中国は都市間の格差が大きく、北京や上海などの大都市では、先進国並みの収入を得られるからだ。記事によると、中国でも大企業の社員は年収が8万元(約137万円)近くあり、IT関連ともなると17万5000元(約300万円)もあるという。
とはいえ、これは中国でもごく一部の例に過ぎない。中国では月収5000元(約8万5000円)以上になると個人所得税を納める必要があるが、2020年の納税者は約9000万人で、これは総人口の6.4%に過ぎないという。実際のところ、李克強首相は月収1000元(約1万7000円)以下の人が6億人いると明らかにしており、圧倒的大多数の人が貧しさに苦しんでいるのが現状だ。
記事は、なんとしても中国が先進国入りする日は近いと主張したいのだろう。確かに、中国の富裕層はますます豊かになっているが、同時に貧困層はより貧しくなっており、コロナ禍でこの格差はさらに拡大している。先進国を目指す中国は、まずこの貧富の差を解決する必要があるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)