日本の製造業は、国内総生産(GDP)全体の2割を占める重要な産業となっている。ここまで成長できたのは、品質の高さで世界から信用を得てきたのと無関係ではないだろう。
中国人に「匠の精神」を強く印象付けたのは、日本の「家電」だろう。記事は、1980年代に世界を席巻し、かつては中国市場でも大人気だった日本の家電について、成功したのはまさに細部まで徹底的こだわる「匠の精神」のおかげだったと振り返った。
しかし記事は、日本の家電が力を失った原因も「匠の精神」だったと主張。日本メーカーの家電は競争力を失い、今は家電の世界市場で力を持っているのは中国や韓国メーカーだとし、「日本人は技術の追求に夢中になり、市場を無視した高品質・高価格の商品開発を続けたことが凋落の原因だ」と論じている。いわば「自己満足に陥った」ということのようだ。
中国ではこれまで、日本の「匠の精神」を見習おうという論調が多かったが、家電その他の製造業で大きく成長したことで、「中国のやり方が正しかった」という考え方になっているようだ。記事は、匠の精神がなかった中国企業は、かえって柔軟な発想でイノベーションに取り組むことができ、老舗メーカーを圧倒するようになってきたと自画自賛している。
中国からすると、日本企業は匠の精神に足をすくわれたように見えるのだろう。しかし、日本に高い技術があるのは事実で、これからの日本の科学技術を支えるのも、やはり匠の精神だと期待したい。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)