中国では最近、習近平国家主席が提唱した「共同富裕」という理念が話題となっている。これは「みんなで豊かになる」という意味で、逆に言えば拡大しすぎた中国の「貧富の差」を小さくすることを目指す理念とも言える。


 中国メディアの百家号はこのほど、「共同富裕」を実現するためには、貧富の差が比較的小さい先進国の方法が参考になると主張する記事を掲載した。

 記事はまず、世界的にも貧富の差の小さい国である日本の税収制度が参考になると紹介した。特に、所得税について日本は「累進課税」を採用しているので、所得が多い人ほど税率は高くなり、所得税率を細かく分けることで、貧富の差を比較的小さくできていると分析した。中国も所得税は累進課税だが、税収全体に占める所得税の割合が、日本は3割以上なのに対し中国は約7%と少ない。

 また、日本には「相続税」と「贈与税」があることも、貧富の差を拡大させないことに寄与しているとしていると記事は伝えた。ちなみに中国には相続税や贈与税がない。

 このほか、海外のように「公益的な基金を設立して社会貢献することを奨励する」方法も参考になるとの専門家の意見を紹介した。例えば米国では、このような基金が大きな影響力を有しており、多くの富裕層は相続税や贈与税を払う代わりに基金を設立し、公益的な慈善活動を行っているが、中国もこのような方法を参考に富を「三次分配」できるとしている。

 しかし、欧米では公益的な慈善事業の歴史がありノウハウもあるが、中国で同じようにできるのかは大きな疑問が残る。「共同富裕」を実現するための道のりは簡単ではなさそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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