日本は天然資源に乏しい国と認識されている。確かに金属資源やエネルギー資源の産出量は多くないが、見方を変えると日本は「資源大国」ということができるという。
記事は、「工業製品の中に存在するリサイクル可能な金属」を指す「都市鉱山」という概念は東北大学の南条道夫教授が世界で初めて打ち出したものだとし、この都市鉱山の規模を考えると日本は世界有数の資源大国となることを指摘した。
さらに、環境省の統計などを引用し、日本国内の都市鉱山には6800トンもの金が埋蔵していると紹介、この金を仮に延棒に加工できたとすると「20兆円」もの価値に変わるとしたほか、この埋蔵量は世界最大の金埋蔵量を誇る南アフリカの埋蔵量を超えていると紹介。また、銀の場合、日本の都市鉱山には6万トンが埋蔵しており、これは銀埋蔵量で世界最大のポーランドを超える水準だと指摘した。
続けて、鉱山から産出される金を例にすると、1トンあたりの鉱石から取れる金はわずか5グラムだが、都市鉱山の場合は例えば携帯電話1万個から300グラムの金を回収できるとし、効率を考えると天然の鉱山より都市鉱山の方がより価値が大きいと言えると強調した。
記事は、日本の地中に埋蔵している資源の量は確かに多くないと指摘する一方、都市鉱山の規模を考えると「まるで日本そのものが都市鉱山のよう」だと強調し、都市鉱山から資源回収を行っている日本は世界有数の資源大国と言えると論じた。
東京オリンピック・パラリンピックのメダルには都市鉱山から回収された金属が使われたことは広く知られている。「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」によれば、2017年4月から2019年3月までの2年間で、「オリンピック・パラリンピックの金・銀・銅あわせて約5000個のメダルに必要な金属量を100%回収することができた」という。
全国の自治体で回収された携帯電話を含む小型家電の量は約7万8985トンに達したほか、NTTドコモが回収した携帯電話の数は約621万台に達し、これで約32キログラムの金、約3500キログラムの銀が回収できたという。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)