中国のポータルサイト・百度に9日、日本、中国、韓国がしのぎを削る囲碁界で、低迷が続いていた日本勢に変化が生じたとする、韓国メディアの報道を紹介する記事が掲載された。
記事は、韓国紙・中央日報の記者によるコラムを引用。
そして、3カ国のトップ棋士5人がそれぞれ出場して行われる勝ち抜き団体戦の同大会ではこれまで日本は中国、韓国勢にほとんど歯が立たず、1勝するのがやっとという状態が長く続いてきたと紹介。しかし、今回日本勢の3人めとして登場した井山九段が11月27日に中国の范廷鈺・九段を相手のミスもあって1勝を挙げると、28日には韓国のビョン・サンイル九段、29日には中国の李欽誠九段、そして、30日には韓国のシン・ミンジュン九段と立て続けに破り4連勝を達成、2月に行われる第3ラウンドを前に日本勢が残り3人、中国が2人、韓国が1人という日本有利の状況を作りあげたことを伝えた。
その上で、井山九段について、日本では16歳で初めて公式戦の大会で優勝して以降、さまざまな最年少タイトル記録を塗り替え、現在までに67のタイトルを獲得してきた一方で、国際大会には弱く、主要大会では1回戦または2回戦で早々に敗退する状況が続いていたと説明。その中で今回、井山九段が4連勝という「驚きの結果」を出した要因としてAI(人工知能)が大きな役割を果たしているとの見方を示している。
記事は、中央日報の記者が、これまで伝統に固有してきた日本の囲碁界は「井の中の蛙」状態であったものの、AIという最先端の技術と出会ったことにより「鎖国」が解け、日本の棋士たちが井戸の底から出始めて来たのだとし、30歳を過ぎ、日本国内で若手の突き上げにも直面している井山九段も「時間こそかかったが、AIによってさらなる飛躍のチャンスを掴むことができたのだ」と評したことを伝えた。
そして、今後の世界の囲碁界はAIによって大きな変化が生じるとともに、これまで才能がありながらも様々な壁に阻まれてきた棋士たちの囲碁人生を変えることになるだろうと展望したことを紹介した。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)