中国では高速鉄道網が全土に広がり、長距離移動もずいぶん楽になったが、今でも昔ながらの寝台列車を利用する中国人も少なくないという。中国メディアの百家号はこのほど、「高速鉄道の方が速いのに、なぜ多くの旅行客は寝台列車に乗りたがるのか」と題する記事を掲載した。
高速鉄道の普及が多くの中国人に多大なる利便性をもたらしたのは事実だ。2021年末には総延長距離は4万キロに達し、中国各地を結んだ路線は移動時間を大幅に短縮した。しかし、今でも寝台列車には根強い人気があると記事は指摘した。
この理由として記事は、1つに「快適さ」の違いがあると分析した。高速鉄道は寝台車が非常に少なく、基本的には座席に座って移動するため、長距離になるとどうしても快適性で劣るという。このため、足が悪い人や高齢者などは寝ているだけで目的地に着く寝台列車を好むと説明している。
別の理由は「運賃」だ。当然のことながら、高速鉄道の運賃は高く設定されており、寝台列車の方がずっとお得に移動できると指摘した。このため、出稼ぎ労働者などは時間がかかっても寝台列車で帰省することを選ぶ人が多いのだろう。
さらに、「高速鉄道の駅の位置」も関係しているという。後から建設された高速鉄道は多くの場合、郊外に駅が建設されているので不便だと指摘した。この点で昔からある寝台列車は、駅が町中にあることが多いので便利であるほか、地方の小都市だとまだ高速鉄道が通っていないところもあるので、寝台列車を選ぶ人が多いと説明した。
高速鉄道網がますます普及している中国だが、昔ながらの寝台列車も根強い需要があるようで、利用者にとっても選択の余地がある方が何かと便利だ。両者はこれからも中国国内で共存していくのだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)