上海証券取引所メインボードへの上場を目指す、万控智造(603070/上海)が3月1日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。6000万株を発行予定で、公募価格は2月28日に決定する。
同社は2016年設立の民営企業で、19年に株式会社化した。スマート電力ネットワーク電気設備、情報センシングシステム設備、スマート化中圧スイッチ設備および重要部品、キャビネット、高圧・低圧電気部品、通信設備の研究開発、生産、加工、取付、調整、販売、修理のほか、ソフトウェア開発、コンピューター情報システムインテグレーション開発などを手掛ける。中でも配電用など各種キャビネットを主力製品としており、売上の80%以上は配電用キャビネットである。20年における配電用スイッチキャビネットの中国国内市場シェアは9.98%で、1位となっている。
中国では発電量が年々増加傾向にあり、2013年の5兆3721億キロワット時から20年には7兆4170億キロワット時にまで増えた。配電用キャビネットを含む配電用設備は電力の輸送、使用に不可欠であり、電力需要の高まりに伴う電力ネットワーク建設推進は、関連設備の需要増に直結する。また、世界的にも特に発展途上国を中心として電力需要、電力輸送や配電インフラの需要が増加しており、「一帯一路」戦略によって途上国とのつながりを深めている中国の関連企業にとっては国内外の両方で大きな成長が期待できる状況だ。
さらに、配電関連設備業界においても国が積極的に国産化を奨励している。同社を含む中国企業は国の支援のもとで研究開発を強化し、海外製品との技術的、品質的な差を縮めつつある。このほか、ビッグデータや5G通信といったIT産業の発展に伴う、データセンターのサーバーやメモリ、バックアップ装置などを格納するITキャビネット需要の高まり、風力発電など新エネルギー発電向け需要など、新たなキャビネット製品の分野が生まれており、同社のさらなる成長を後押ししている。
一方で、参入企業の増加と品質に対する要求の高まりに伴い今後業界内の競争が激しくなる可能性がある。
2021年12月期の売上高は21億6032万元(前期比27.88%増)、純利益は1億9001万元(同7.15%増)。(編集担当:今関忠馬)