深セン証券取引所の創業板への上場を目指す、常州祥明智能動力(301226/深セン)は3月11日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1700万株を発行予定で、公募価格は29.66元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は1995年設立の民営企業で、2016年に株式会社した。マイクロモーターや送風機およびスマートコンポーネントの研究開発、生産、販売を主業務とする。HVAC&R(暖房、換気、空調、冷凍)、交通車両、通信システム、医療健康などの各分野の顧客にオーダーメイド、スマート化、モジュール化製品やソリューションプランを提供しており、中国電気メーカーの海信、仏自動車部品メーカーのヴァレオ、パナソニックなどの大手メーカーを顧客に持つ。2021年1~6月期の売上構成は、マイクロモーターが約62%、送風機が約33%。
 
 2020年における中国のマイクロモーター生産台数139億台に対し、同社の生産台数は451万1400台で、生産台数ベースの中国国内シェアは0.03%となっている。
 
 世界のマイクロモーター市場規模は2018年が281億3000万米ドル、20年が364億7800万ドルとなっている。21年から30年にかけては年平均4.10%のペースでさらに成長するとみられ、30年には市場規模が560億6600万元に達する見込みだ。中国は世界最大のマイクロモーター生産国であり、世界全体の生産量の70%前後を占めている。17年に世界でマイクロモーター使用量が最も多かった分野は情報業界で全体の29%を占め、家電が26%、自動車設備が13%、映像処理が7%などとなっており、いずれの業界でも安定した成長が見込まれている。また、送風機分野では中国国内の観光業発展、都市化建設、市民の消費レベル上昇に伴う生活、居住インフラ整備によりHVAC&R業界での需要が拡大し続けている。HVAC&R業界を主なターゲットとしている同社にとっては良好な市場環境だ。

 
 同社は確かな技術力とカスタマイズ性の高さなどで強みを持つ一方で、経営規模が小さく生産能力が同業他社より低いために大きなシェアを獲得できないでいる。また、2020年の新型コロナ感染拡大以降に主要な原材料価格の上昇が続いており、経営リスクの一つとなっているほか、売上の25%程度をアジアや欧米への輸出に依存しており、米中関係をはじめとする国際情勢の変化が同社の経営に一定の影響を与える可能性がある。
 
 2021年12月期の売上高は7億3485万元(前期比33.42%増)、純利益は6261万元(同4.97%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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