深セン証券取引所の創業板への上場を目指す、国能日新科技(301162/深セン)が4月15日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1773万株を発行予定で、公募価格は45.13元。
同社は2008年設立の民営企業で、18年に株式会社化した。新エネルギー発電所、発電企業、電力ネットワーク企業などに対し、新エネルギー発電効率予測製品、システム、関連サービスを提供する。また、新エネルギー連係インテリジェント制御システム、新エネルギー発電所インテリジェント運営システム、電力ネットワークの新エネルギー管理システムといった、新エネルギー関連の情報化製品、サービスも手掛けている。
2021年1~6月期の売上構成は、新エネルギー発電効率予測製品が75.95%、新エネルギー連係インテリジェント管理システムが10.75%、電力ネットワークの新エネルギー管理システムが3.48%、新エネルギー発電所インテリジェント運営システムが0.38%。19年における同社のシェアは、中国の太陽光発電効率予測市場が22.10%、風力発電効率予測市場では18.80%となっており、競合の他企業をリードしている。
中国の新エネルギー産業は、脱炭素を目指す中国政府による手厚い援助のもとで急速に発展している。風力発電の発電容量は2014年の9640万キロワットから19年には2億1010万キロワットと年平均16.9%のペースで増加、20~24年は年平均成長率が7.3%で、24年には3億600キロワットに達する見込みだ。太陽光発電も14年の2810万キロワットから19年には2億430万キロワットと年48.8%で成長し、20~24年は年17.6%の成長率で24年には4億7690万キロワットまで増加すると見られる。
また、新エネルギー産業の発展に伴い、関連するソフトウェア、データサービス市場規模も年々拡大しており、14年の15億8700万元から19年には26億8800万元まで増えた。さらに、24年には44億7300万元まで成長する見込みだ。
太陽光発電、風力発電に代表される新エネルギー発電システムは、従来のエネルギーに比べて再生可能、クリーンといった長所を持つ一方で、気候条件などによる間欠性、変動性が大きく、安定性に欠け、発電力の予測が難しいという問題点も抱えている。
同社は気象学、大気物理学、コンピュータ科学・技術、電子情報科学・技術などのエキスパートからなる研究開発チームを持ち、主業務である発電効率予測をはじめとする多くの重要技術、アルゴリズムを開発しており、精度の高い予測を実現してきた。また、ソフトウェアの高い安定性、充実したカスタマーサービス、ニーズへの対応力の高さなどを強みとしている。一方で、国有企業の南瑞集団、深センメインボードと香港に上場している金風科技(ゴールドウィンド、002202/深セン、02208/香港)などのライバル企業に比べると資金力が不足しており、今後激しくなる競争についていけなくなる可能性がある。新規上場によって資金力を高め、安定した発展環境を確保したいところだ。
さらに、政府による新エネルギー政策の変化、関連補助の削減、競争の激化、発電効率予測サービス価格の下落といった点が業績リスクとして存在する。
2021年12月期の売上高は3億15万元(前期比20.92%増)、純利益は5917万元(同9.16%増)。22年1~3月期の業績予測は、売上高が6000万~6600万元(前年同期比24.71~37.18%増)、純利益が180万~250万元(同1.60~41.11%増)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)