上海証券取引所の科創板への上場を目指す、杭州景業智能科技(688290/上海)が4月19日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2060万株を発行予定で、公募価格は33.89元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2015年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。特殊ロボットおよびインテリジェント設備の研究開発、生産、販売を主業務としており、主な製品は分析用サンプル採集ロボット、放射性物質輸送設備など原子力産業系のロボットおよびインテリジェント設備、非原子力産業向けインテリジェント設備などで、原子力産業のほかに新エネルギー電池産業、医薬・健康産業などに利用されている。原子力産業系製品は中国の重要原子力産業プロジェクトに採用されており、中国核工業集団(CNNC)、中国航天科技集団、中国航天科工集団など大型中央企業傘下の企業、研究所を主たる顧客としている。2021年12月期の売上構成は、原子力産業系インテリジェント設備が86.94%、原子力産業系ロボットが3.10%、非原子力産業向けインテリジェント設備が4.04%となっている。
 
 中国のインテリジェント設備市場規模は、中国政府による工業の情報化、インテリジェント化推進政策もあって年々拡大しており、2011年の4200億元から18年には1兆8000億元と年平均23.11%のペースで増加した。中国国内のインエリジェント設備製造業界は立ち上がりが遅く、研究開発レベル、製造技術、産業体系いずれにおいても日本やドイツなどの先進国に後れを取ってきたが、国内製造業のモデルチェンジや研究開発への資金投入強化が進むに連れて技術レベルが高まりつつあり、これまで市場をリードしてきた輸入品から国産品への置き換えで一定の成果が出始めている。
 
 同社は原子力産業向けに特化したロボット、インテリジェント設備製造技術を持っていること、製品の安全性、安定性に優れ、信頼性が高いこと、全従業員の約4割を占める技術開発チーム、業界におけるブランド力の高さなどを強みとしている。一方で、大手のインテリジェント設備企業に比べると経営規模が小さいこと、原子力産業以外の分野への利用範囲拡大が課題だ。
 
 2021年12月期の売上高は3億4871万元(前期比68.95%増)、純利益は7639万元(同44.03%増)。22年1~3月期の業績予測は、売上高が3500万~3800万元(前年同期比580.04~638.33%)、純利益が0~200万元(前年同期は156万元の純損失)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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