上海証券取引所の科創板への上場を目指している、凌雲光技術(688400/上海)が6月23日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。9000万株を発行予定で、公募価格は21.93元。
公募終了後、速やかに公開する見込みだ。
 
 同社は2002年に北京凌雲光数字図像技術有限公司として設立した民営企業で、20年に株式会社化して現社名となった。光技術イノベーションを基礎とし、マシンビジョンおよび光通信業務を主業務としている。現在はマシンビジョン事業に注力しており、システムや設備、ソフトウェア、アルゴリズムの自主開発を進めるとともに、清華大学などとの共同開発にも取り組む。カスタマイズ可能なビジョンシステム、インテリジェントビジョン設備、ビジョンシステム重要部品を提供している。
 
 コンシューマー電子分野ではアップルやファーウェイ、シャオミなどのサプライチェーンに入っており、鴻海精密、瑞声科技などの大手電子製品メーカーと長期的な提携関係を築いてきた。新型ディスプレイ分野では、京東方、華星光電、天馬、無錫シャープなど業界をリードするメーカーの生産ラインで同社の製品が利用されている。このほか、印刷包装、新エネルギー、インテリジェント交通、文化・エンターテインメントといった幅広い分野で広く応用されている。
 
 また、光通信分野では放送用ブロードバンドアクセス関連製品を中国内外の放送局に提供しているほか、海外著名ブランドの光ファイバーデバイスや機器、ビジュアルデバイス製品の代理販売を行っている。2021年の売上構成比はインテリジェントビジュアル設備が約29%、カスタマイズ可能なビジュアルシステムが約25%、光ファイバー機器の代理販売が約31%。20年におけるマシンビジョン事業の売上高は中国国内企業で第1位だ。
 
 マシンビジョンシステムは新型ディスプレイ、コンシューマー電子、印刷包装、新エネルギーなどさまざまな分野において、デジタル化、インテリジェント化に不可欠なツールとなっており、世界のマシンビジョン市場は2015年の56億米ドルから19年には102億ドルに成長、25年には147億ドルにまで達すると予測されている。
中でも中国市場の成長は著しく、18年の101億8000万元から20年には144億2000万元と年平均19.02%のペースで拡大。23年には296億元となり、20~23年の平均成長率は27.15%に達する見込みだ。
 
 同社は中国国内で400件を超える特許を取得するとともに、多くの関連国家規格、業界規格制定をリードするなど優れた研究開発力を持っていること、光学画像処理重要部品、画像処理システムザイン、画像処理アルゴリズムなどでの高い技術力を備えていること、国際的な著名企業と提携関係を築いていることなどを強みとする一方で、国際的なリーディングカンパニーと比べると経営規模、研究開発レベルといった点で大きな差があること、国際市場の開拓が不十分であることなどをボトルネックとしており、さらなる成長、市場開拓に向けて資金の調達力を高めることが喫緊の課題となっていた。

 2021年12月期の売上高は24億3611万元(前期比38.77%増)、純利益は1億7186万元(同30.27%増)。22年1~3月期の売上高は5億2551万元(前年同期比26.00%増)、純損失は1607万元(同40.78%の損失減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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