深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、深セン市江南龍電子(301308/深セン)が7月25日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4200万株を発行予定で、公募価格は55.67元。
同社は1999年設立の民営企業で、2018年に株式会社化した。フラッシュメモリおよびDRAMメモリの研究開発、設計、販売を主業務としており、ファームウェアのアルゴリズム開発、メモリチップテスト、ICパッケージ設計、メモリ製品のカスタマイズなどで高い競争力を持ち、コンシューマー向け、工業向け、自動車電子向けストレージや、産業用ストレージソフトウェア・ハードウェアアプリケーションのソリューションプランを提供している。産業用のメモリ・ストレージブランドFORESEE、ハイエンドのコンシューマー向けブランドLexarの2ブランドを展開しており、製品はスマートフォン、スマートテレビ、タブレットコンピューター、パソコン、通信デバイス、ウェアラブルデバイス、セキュリティ、工業制御、自動車電子、個人向けモバイルストレージなどの分野で広く利用されている。
2021年1~9月におけるLexarブランドのメモリーカード世界市場シェアは第2位、フラッシュメモリ(USBメモリ)の世界市場シェアは第3位となっている。また、eMMCの世界シェアは4%で世界7位だ。
世界の半導体メモリ市場規模は短期的には拡大と縮小を繰り返しているもの、長いスパンで見れば拡大を続けており、2013年の670億4300万米ドルから20年には1174億8200万ドルにまで増加した。また19年現在で世界の半導体メモリの58%はDRAMで、40%がNANDフラッシュとなっている。電子製品の処理速度向上に伴ってDRAMメモリの容量は拡大し続け、NANDフラッシュも技術の向上によって単位あたりのコストが改善を続けており、ユーザーのニーズはますます高まっている状況だ。20年におけるDRAMメモリの世界市場規模は663億8300万ドル、NANDフラッシュは571億9500万ドルである。
同社は現在までに400件を超える特許を取得するなど高い技術力を持っていること、2021年末現在で技術研究開発人員が全従業員の53.94%を占める800となっており、充実した人材を確保していること、サムスン、マイクロンなどの大手半導体メーカーと長きにわたる提携関係を構築していること、2017年に買収したLexarブランドを持っていること、広東省深セン市に本社を置き、香港、台湾、米国、オランダ、日本などに拠点を持ちグローバル経営を行っていることなどを強みとする一方で、資金不足が会社のさらなる発展の足を引っ張ってきた。また、今後の成長を支えるハイレベル人材の確保も必要だ。
また、材料となるシリコンウエハーの調達を韓国、米国、日本のメーカーに依存していること、シリコンウエハーの価格変動による利益率低下、売上の8割以上を海外に依存しており、貿易摩擦の影響を大きく受けやすいこと、各期末の在庫評価額が流動資産の50%以上を占めていることなどのリスクが存在する。
2021年12月期の売上高は97億4881万元(前期比33.99%増)、純利益は10億1304万元(同266.73%増)。22年1~3月期の売上高は23億3032万元(前年同期比5.77%減)、純利益は1億6213万元(同20.75%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)