深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、杭州広立微電子(301095)が7月26日、新規上場(IPO)に向けた公募を開始する。5000万株を発行予定で、公募価格は25日に発表する。
同社は2003年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。集積回路(IC)向け電子設計自動化(EDA)ソフトウェアおよびシリコンウエハー向け電気試験設備の設計、開発を主業務としている。半導体の歩留まり向上、電気試験の急速モニタリング技術に特化し、ソフトウェアツールのライセンス、ソフトウェア技術および測定器の開発を手掛けている。ファブレス企業およびファウンドリ企業に製品やサービスを提供しており、華虹集団、サムスン電子などアジアの大手ICメーカーや著名IC設計企業と取引関係を持つ。
世界のIC市場規模は2012年の2382億米ドルから20年には3612億ドルと年平均5.34%のペースで成長した。22年には5023億ドルに達すると予測されている。特に成長著しいのが中国市場で、12年の2158億元から21年には1兆458億元と年平均19.17%のペースで増加した。一方で、中国市場の製品は依然として大部分を輸入品に依存しており、21年には6355億個、4326億ドルのICを輸入している。中国政府は15年に「25年までに重要基本部品、材料の70%について自主保障を実現する」という計画を打ち出しており、中国国内のIC業界は大きな発展のチャンスを迎えている。
その中で、半導体の製造に欠かせないEDAツール市場も急速に拡大しており、中国市場は2016年の57億4000万ドルから20年には93億1000万ドルにまで増加、25年には184億9000万ドルに達する見込みだ。現状はシノプシス、ケイデンス、メンター・グラフィックスといった海外企業が90%以上のシェアを獲得しており、同社は業界内の有力な中国企業としてシェアの拡大を目指す。
同社はIC歩留まり向上分野において全フローを網羅したシステマティックなソリューションプランを提供できること、国産品への置き換えが奨励される中で業界の先発者として優位性を持っていること、経験豊富な研究開発チームを持っていること、国内外の大手企業を顧客に持っていること、ローカライズ能力に長けていることなどを強みとする一方で、一部分野の技術レベルにおいて業界のリーディングカンパニーとなおも大きな差があること、さらなる発展に向けた資金調達力に乏しいことがボトルネックとなっている。このほか、売上が少数の顧客に集中していること、ソフトウェア開発の売上に一定の上下動があること、国際的な貿易摩擦の激化などが経営上のリスクとして存在する。
2021年1~12月期の売上高は1億9812万元(前期比59.92%増)、純利益は6374万元(同27.81%増)。22年1~3月期の売上高は1372万元(前年同期比88.98%増)、純損失は1258万元(同19.81%の損失増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)