深セン証券取引所のメインボードへの上場を目指している、勝通能源(001331/深セン)が8月30日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。当初は9日に公募開始予定だったが、延期となった。
3000万株を発行予定で、公募価格は26.78元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2012年龍口勝通能源有限公司として設立した民営企業で、18年に株式会社化して現社名となった。液化天然ガス(LNG)の調達、輸送、販売および原油、一般貨物の輸送サービスを主業務としている。輸送車両334台を誇る安定した大規模なLNGタンク輸送能力と、全国をカバーするLNG調達業務ネットワーク、インターネットを駆使した情報化管理プラットフォームにより、工業用、都市用、交通用燃料を求める顧客に対してワンストップサービスの輸送、供給ソリューションプランを提供する。21年における中国LNG輸送企業ランキング2位、LNG取引企業ランキングで4位となっている。
 
 中国のLNG生産量は2016年の695万5000トンから21年には1545万トンと5年間で2倍以上に増えたが、需要量の増加に比べて遥かに小さく、輸入量が年々大きく増加している。16年には2606万トンだった輸入量は21年には約3倍の7892万トンとなった。天然ガス全体の輸入量に占める割合も、15年の45.45%から20年には67.58%とパイプライン輸入量を上回った。中国政府は30年までにカーボンピークアウト、60年までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げている。低炭素でクリーン、安全かつ高効率なエネルギー体系の構築、これまで石炭を主力としてきた中国北部地域における冬季の暖房需要を満たす上でも天然ガス、特にLNGの重要性は高まっており、同社の業務が果たす役割はますます大きくなると言えそうだ。
 
 同社は大規模なLNGタンク車の輸送能力を持っていること、整備されたLNG産業チェーン体系を整えていること、中国国内のLNG輸送モデル構築に積極的に携わってきたこと、高規格で専門的な安全監督管理体系を整えていることを強みとする一方で、業務拡大に向けた資金の調達手段が単一的であること、ハイエンド人材が不足していることなどがボトルネックとなっている。
また、国際的なLNG市場価格の変動、LNGの調達を中海石油気電集団に大きく依存していること、輸送上の危険性が高く、事故が発生すれば重大な損失が生じる可能性があること、国際情勢の変化といった経営上のリスクが存在する。
 
 2021年12月期の売上高は48億8117万元(前期比35.67%増)、純利益は1億7399万元(同55.57%増)。2022年1~6月期の売上高は28億9042万元(前年同期比26.51%増)、親会社の株主に帰属する純利益は1億5353万元(同47.14%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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