自律反発狙いの買いが先行する流れ。ハンセン指数はこのところ下落基調を強め、足元では約1年2か月ぶりの安値水準に落ち込んでいた。影の銀行(シャドーバンキング)の債務問題を巡る警戒感もやや後退。先ごろ破産申請が受理された中国の民営ノンバンク系資産運用会社、中植企業集団有限公司を巡り、JPモルガン・チェースは最新リポートで、中国金融セクターにシステミック・リスクをもたらす恐れはないとの見解を示した。米中指標の発表を控え、朝方は上値の重い場面がみられたものの、指数は上げ幅を徐々に広げている。米国では今夜、12月の消費者物価指数(CPI)、中国ではあす12日に12月の物価統計と貿易統計が発表される予定だ。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術(2269/HK)が8.8%高、創薬支援の無錫薬明康徳新薬開発(2359/HK)が6.7%高、飲食ポータルサイトの美団(3690/HK)が5.4%高と上げが目立った。薬明生物技術については、業績の改善期待が追い風となっている。同社は10日引け後、24年の新規プロジェクト目標数を80→110件に上方修正したと発表。新規プロジェクトによって、年間で約10億米ドル(約1450億円)の収入がもたらされると予測している。
セクター別では、香港と本土の不動産が高い。九龍倉置業地産投資(1997/HK)が3.8%、新世界発展(17/HK)が3.1%、長江実業集団(1113/HK)が2.0%、旭輝HD(884/HK)と合景泰富集団HD(1813/HK)がそろって4.1%、華南城HD(1668/HK)が3.8%ずつ上昇した。
自動車セクターもしっかり。長城汽車(2333/HK)が5.1%高、理想汽車(2015/HK)が4.4%高、比亜迪(1211/HK)が3.8%高、広州汽車集団(2238/HK)が2.7%高で引けた。自動車販売の好調が伝わる。中国汽車工業協会(CAAM)は11日、2023年の新車国内販売が前年比12.0%増の3009万4000台に伸びたと発表した(過去最多を記録)。
半面、石炭・石油セクターはさえない。中国神華能源(1088/HK)が3.0%、中国中煤能源(1898/HK)とエン鉱能源集団(1171/HK)がそろって2.5%、中国石油天然気(857/HK)が1.9%、中国海洋石油(883/HK)が1.0%ずつ下落した。
一方、本土マーケットは反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.31%高の2886.65ポイントで取引を終了した。ハイテク株が高い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)