休場明け16日前場の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比303.08ポイント(1.59%)高の19376.79ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が122.94ポイント(1.82%)高の6864.35ポイントと反発した。売買代金は1142億5610万香港ドルに拡大している(14日の前場は820億1250万香港ドル)。

 投資家心理が上向く流れ。米長期金利の低下や中国の景気支援スタンスが支えとなっている。昨夜の米債券市場では、年内利下げの観測が広がるなか、米10年債利回りが約1カ月ぶりの低い水準を付けた。中国では不動産業界の支援策が期待されている。「中国政府は数百万戸に上る売れ残り住宅の買い上げを検討しているもよう」と報じられた。そのほか、「杭州市政府は市内の分譲住宅を買い上げ、低家賃での貸し出しを検討している」とも伝わっている。米中対立の警戒感などで朝方は上値が重かったものの、指数は上げ幅を徐々に広げた。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、中国不動産の上げが目立つ。龍湖集団HD(960/HK)が13.2%高、碧桂園服務HD(6098/HK)が6.6%高、中国海外発展(688/HK)が5.6%高、華潤置地(1109/HK)が3.6%高で引けた。上述したように、政策支援の動きが期待されている。そのほか、好決算を手がかりに、インターネットサービス中国大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が4.2%高。同社が14日引け後に報告した1~3月期決算は、市場予想を上回る62%増益だった。

 ゼネコンやセメントなどインフラ建設関連の銘柄も高い。中国建築国際集団(3311/HK)が3.8%、中国鉄建(1186/HK)が2.5%、中国交通建設(1800/HK)が2.3%、中国建材(3323/HK)が8.4%、安徽海螺水泥(914/HK)が7.2%、華潤水泥HD(1313/HK)が6.9%ずつ上昇した。
 中国の銀行・保険セクターも物色される。招商銀行(3968/HK)が5.5%高、中国建設銀行(939/HK)が5.0%高、中国工商銀行(1398/HK)が4.9%高、中国平安保険(2318/HK)が5.7%高、中国人寿保険(2628/HK)が5.5%高で前場取引を終えた。
  半面、自動車セクターの一角はさえない。理想汽車(2015/HK)が3.8%、比亜迪(BYD:1211/HK)が1.1%、浙江零ホウ科技(9863/HK)が1.0%ずつ下落した。米国の関税引き上げが懸念されている。BYDの幹部は米国による関税引き上げについて、米進出の計画はなく、影響はゼロだと述べたものの、投資家の不安感は払しょくされていない。関税引き上げが欧州などに広がる恐れもある。また、BYDはメキシコでの工場建設計画を進める構え。米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は、メキシコやベトナムを通じた輸出で関税を回避する動きも阻止することを検討していると述べた。
 一方、本土マーケットは4日ぶりに反発。
主要指標の上海総合指数は、前日比0.48%高の3134.97ポイントで前場の取引を終了した。不動産株が高い。ハイテク株、金融株、素材株、インフラ建設株、食品・飲料株なども買われた。半面、エネルギー株は安い。自動車株、公益株、運輸株、医薬株も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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