「美しくいたい」とは世の女性の変わらぬ願い。そして、アジアエリアを中心に、そんな女性たちの願いを叶え続けている株式会社資生堂。
その中国の現地法人である資生堂(中国)投資有限公司は、中国各地の女性たちからの信頼を勝ち得ながら、順調な事業拡大を続けている。

 毎年10パーセントの経済成長を続ける中国。その中でも化粧品業界は年12から13パーセントの伸びを続けている。日本の化粧品業界大手の株式会社資生堂、その中国総代表を務めている宮川勝氏も「非常にやりがいがある」と語るその苛烈な市場で、同社は従来からの沿岸部を中心とした高級デパートでのコーナー展開に加え2004年以降、内陸部中心に資生堂チェーンストアを展開。特に内陸部の農村部に近い場所でも、女性と資生堂との出会いを作り上げている。

 こうして中国における販売面を拡大している同社だが、消費者の信頼までを勝ち取る秘密はこれだけでなかった。

―「おもてなしの心」が掴む消費者の心

 同社では「ハイ・クオリティ」、「ハイ・イメージ」に加え、「ハイ・サービス」の「3高」を国内、海外問わぬビジネス展開の柱にすえている。このなかでも同社が最も心血を注ぎ、そして消費者からの絶大な支持を得る下地ともなっているのが「ハイ・サービス」。この消費者をひきつけるサービスの基本理念を「おもてなしの心」だと宮川総代表は話す。

 資生堂の扱い店においては日本と同様、肌のカウンセリングから消費者の肌の悩みを細かく聞き取り、そしてその肌に合った商品を提供する。またこの時、その商品を正しく使用するための説明も忘れない。店頭においても、その場限りの対応ではなく、こうした消費者の立場に立ち、心から満足してもらおうとする「”おもてなしの心“で接することで、消費者が資生堂を信頼し、リピーターとなってくれる」(宮川総代表)のだ。


 こうした同社の追及する「ハイ・サービス」を実現するために、08年3月に上海に研修センターを設立。上海で育て上げたスタッフや日本から呼び寄せたトレーナーなどが、社内での新たなスタッフ研修や得意先へのサービス研修を行っている。

 入社して間もない現地のスタッフの中には、同社の顧客サービスに対し「なぜここまでするのか」と首をかしげる者もいるという。しかし「そのサービスをお客様に対して実践し、お客様からの反応を得たとき、スタッフは喜び感じる」(宮川総代表)。こうした経験が、同社の「おもてなしの心」のサービスを中国で広げる原動力となっていることは言うを待たない。

―グローバル展開のタブーを敢えて

 中国人女性に合った商品の開発も、中国の消費者からの好感を勝ち取る大きな要因となった。

 「本来の肌の質は日本人も中国人も変わらない」とかつて商品の開発に携わった宮川総代表は話す。しかし中国では日本よりも年間気温の差が非常に激しく、乾燥し、かつ紫外線も強い。そのため肌が受けるダメージが強いのだが「受けたダメージへのケアを怠ってしまうことで、年齢を重ねたときにその差が明確になってしまう」(宮川総代表)。そのため、前述のような商品を正しく使用するための説明ももちろんだが、その環境に合った化粧品を開発することに踏み切った。こうして誕生したのがデパートで販売している「オプレ」、チェーンストアで展開している「ウララ」の2大中国専用化粧品だ。

 この中国専用商品の開発について「グローバル戦略においてその土地限定の商品を開発するのは事業展開にとっては効率が悪い、いわゆるタブーなんです」と宮川総代表は苦笑い。
だが、そのタブーを敢えて犯しているのも、同社の「中国の女性を美しく」という理念からであり、また中国の消費者の立場に立った「おもてなしの心」を行動に表したことに他ならない。そしてここから同社が勝ち得た結果は「中国の女性からより高い信頼を得たことだと思っています」と宮川総代表も力強く語るほどだ。

―「恩返し」のための進出

 資生堂の中国進出は1980年代と、日系企業の中でも早期の進出。確かに現在は中国市場を「ビジネスにおける最優先市場」と位置づけている。しかし、その進出理由は元来「マーケットとしての中国」を見越したものではなく、「恩返し」としての意義が大きかった。

 日本のみならずアジアでも知らぬものはいない「資生堂」という社名。実はこの社名の由来は中国の古書『易経』から得たもの。そのため同社では「社名をくれた国の発展に何かしらの貢献をしたい」という思いがあり、それが中国進出へと踏み切らせたきっかけとなった。

 こうした思いで進出した同社、中国における社会貢献にも積極的だ。希望小学校の建設や甘粛省での植林活動などCSRなどにも力を注ぎながら、同社のメイン事業の延長として、全国婦人連合会と協力しての美容講演会や大学と提携しての美容相談会など、「中国の女性を美しく」という理念に基づいた活動も展開している。この活動の背景には単なる化粧の仕方ではなく、前述のような「肌へのダメージ」という意識やその対処法の普及に一役買っているのである。

 進出から27年、中国における消費者との信頼関係を築きあげた資生堂。
今後は日本、中国を中心におきながら、アジア全域での存在感の強化を目指していく。

株式会社資生堂中国総代表
資生堂(中国)投資有限公司
董事長 総経理
宮川 勝
MIYAGAWA MASARU

早稲田大学卒業後、株式会社資生堂に入社。本社マーケティング部、商品開発部、国際事業部を経て、2003年5月に上海卓多姿中信化粧品有限公司の総経理に就任。04年4月、資生堂(中国)投資有限公司の総経理に就任し、さらに08年1月より株式会社資生堂の中国総代表と資生堂(中国)投資有限公司董事長兼総経理を兼任する。座右の銘は「全力投球」。趣味としてスポーツ(ゴルフ)をたしなむ。

資生堂(中国)投資有限公司
上海市浦東南路999号新梅聯合広場33-35F
TEL:021-3861-2828
FAX:021-5876-2061

※このインタビュー記事は、現地の日本語情報誌『SUPERCiTY』による提供です。今の中国を知るための総合情報ポータルサイト URL:http://www.chinasupercity.com/

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(了)
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