経済発展が続く中国では、国民の健康意識も変化している。遮二無二生活レベルの向上を目指していた人たちが、徐々に健康で文化的な生活を望むようになっている。
「オムロン」、日本人なら知らない人はほとんどいない会社だ。しかし、その事業の実態を知る人は意外に少ないのではないだろうか。オムロンの主力製品は、工場などの製造現場を支える制御機器や、デジタル家電、OA機器などに使われる電子部品だ。一般の人の目につかないところ、いわば縁の下の力持ちとして活躍している。その中で、体温計や血圧計など消費者に直接向き合う製品を製造・販売しているのがヘルスケア事業だ。尾関総経理はこの事業一筋に25年の時を歩んできた。
“3高”を改善したい
オムロン中国は1993年に設立された。ヘルスケア事業の製品は一般消費者向けの健康機器と病院向けの医療機器の2つの分野がある。そのうち、売り上げの90パーセントを占めるのが健康機器で、主にデパートや薬局、日系・欧米系の量販店で販売されている。尾関総経理は2006年10月に総経理として上海に赴任した。
中国の3高はバブル期に日本で持てはやされた女性が結婚相手を選ぶ条件とはまったく違う。高血圧、高血糖、高体脂肪の3つを表す言葉だ。中でも中国には高血圧の人が多い。その数は04年に1億6000万人、最近では2億人といわれる。人口の10パーセント前後とされている日本と比べてもかなり高い数字だ。この数字を反映するように、中国では死亡原因の中に占める脳卒中、心臓病の割合が日本よりかなり高い。
こうした事情を背景に、オムロン中国では血圧計の販売に力を入れてきた。しかし、会社設立から10年余りたっても売り上げの伸びは鈍く苦戦が続いていた。当時の血圧計は最低でも500元ほどと高価で、特定の富裕層をターゲットにして販売戦略を練っていた。そんな血圧計の販売に転機が訪れたのは06年だった。
中国の人たちが作った中国の会社を
ヘルスケア事業の社員は約150人、その中に日本人は4人しかいない。「日本人は上から命令するばかりで下に降りていかないと思われがちです。販売の現場を実際に見ることが大切です」と話す尾関総経理。
中国でビジネスを円滑に進めるためには相手との食事が欠かせない。それは酒宴を意味することが多い。中国でのヘルスケア事業のトップである尾関総経理もそうした場に臨むことが多いが、実は酒がほとんど飲めないのだという。それでも飲む。「中国に来たばかりのころは大変でした。宴席ではいつも前菜までしか覚えていませんでした」。
オムロン中国では中国の人の健康を守るため、日本で大ヒットしシェアトップの電動歯ブラシを市場に投入した。体脂肪率を量る体組成計もこれからの主力商品として育てたいとしている。当面の目標としてオムロン中国は、グループのヘルスケア事業全体の中でのシェアを現在の7パーセントから10パーセントにアップさせることを挙げている。中国とロシアが牽引しているというオムロンでは、この目標達成の成否はグループ全体の業績を大きく左右することにもなる。「わたしは社員に言いました。北京オリンピックで中国は51個もの金メダルを獲得し、世界一になった。オムロン中国の健康機器事業も世界一にしようと」(尾関総経理)。13億の人を健康にしたいと願う尾関総経理、中国に溶け込み、中国の人を前面に押し出した取り組みが続く。
欧姆龍(中国)有限公司ヘルスケア事業
総経理
尾関 透
TORU OZEKI
1960年、京都市生まれ。大学で貿易や海外ビジネスについて学ぶ。
欧姆龍(中国)有限公司ヘルスケア事業
上海市福州路666号金陵海欣大厦23楼
TEL:021-6391―7557
FAX:021-6391―7028
URL:www.omronhealthcare.com.cn
※このインタビュー記事は、現地の日本語情報誌『SUPERCiTY』による提供です。今の中国を知るための総合情報ポータルサイト URL:http://www.chinasupercity.com/
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