3日に北京で開幕した全国政治協商会議第11期第1回会議で、天津市出身の政治協商委員、潘慶林氏が提案した「中国本土での繁体字復活案」が話題を集めている。

 潘氏の提案は、現在中国本土で使用されている、漢字を簡略化した文字の「簡体字」を10年間をかけて段階的に廃止し、もともと使っていた繁体字を復活させるというもの。
提案の理由は「1950年代に作られた簡体字は雑すぎ、字が本来持つ芸術性を科学性を失っている」「繁体字は画数が多く学びにくいと言うが、今では多くの人がパソコンを使って字を打つため、状況が変わった」「繁体字を使っている台湾との統一に有利」というものだ。

 繁体字の復活論は以前からあるが、今回、潘氏の提案が中国紙で報じられると、インターネット上などで議論が巻き起こった。賛成の声としては「海外の華人はほとんどが繁体字を使っており、中国本土での復活は中華民族の結束に有利だ」というもの、また反対論としては「本土では現在、95%の人が簡体字を使っており、切り替えは困難」というものなどがある。

 提案自体は中国本土の人々に自らの文化とアイデンティティーを考えさせるものになりそうだが、一部には「政治協商会議ではそんなことよりももっと、国民の暮らしにかかわる重要なテーマを議論するべき」との批判も出ているという。(編集担当:恩田有紀)

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