韓国に伝わる「江陵端午祭」が、2005年に世界無形文化遺産に登録されたことで、中国では「文化を盗んだ」とする、反発が発生。その後、韓国で「孔子は韓国人だった」とする説が発表されたことなどで、嫌韓感情は一層高まった。
端午節は中国戦国時代の楚の政治家で、詩人としても名を残した屈原をしのぶ習俗とされる。楚は現在の湖北省などが支配領域だった。屈原が亡国を憂いて汨羅江(べきらこう)に入水自殺したことを知り、屈原を慕う村民が救出のために小船を繰り出したことが「ドラゴン・ボート(龍舟)」レースの起源になったとされる。また、ちまきを食べる習慣には「あの世に行った屈原に供えるため」、「魚が遺体を食べないようにするため」などの諸説がある。
屈原の死から数えれば、中国における「端午節」の習俗は約2500年の歴史を持ち、湖北省をはじめとして、全国各地ではさまざまな行事が行われる。韓国は「江陵端午祭」を申請した際、「もともとは中国の行事。韓国に伝わって1500年以上が経過した」などと説明した。
中国人の間では「もともと中国のもの。ユネスコが認めて当然」との声が一般的だが、韓国が先に登録しており、「東アジアの歴史や文化をよく知らないユネスコの選考委員も多いので、登録の可能性は低くなる」との声もある。
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ユネスコが登録した中国に伝わる世界無形遺産には、古典芸能の「昆劇」、楽器の「古琴演奏」、ウイグル族の合奏音楽「ムカーム」がある。モンゴル民族のオルティン・ドーは、モンゴル国と共通の遺産として登録された。
「昆劇」は江蘇省を本場とする劇。娯楽性に富む京劇と比べると大衆的人気は低いが、高い芸術性が特徴。「古琴」は、孔子も愛したとされる楽器。日本の「琴」とは異なる。封建社会の支配者の楽器として文化大革命期などには排斥されたが、1980年代から復活した。
「ムカーム」は複雑な理論と大衆性が融合した合奏。地方により異なり、踊りが加わる場合もある。オルティン・ドーは、音を長く引き伸ばして歌う歌。日本の追分様式の民用や、チベット民族の「ラ・ルー(山の歌)」に似ており、歌唱には極めて高い技巧を要する。
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