中国・北京市ではこのほど、昨年10月23日から雨や雪などの降水量がほとんど降らないことから、約30年ぶり、過去2番目に少ない降水量を記録したと話題になっている。北京では、降水量の少なさから、ダムの貯水量や地下水の減少、麦の苗の約9割が立ち枯れる可能性などが危ぶまれている。
中国新聞網などが伝えた。

  同市気象台気候科の陳大剛科長によると、北京の冬はもともと降水量が少なく、例年、年間降水量の約2%を占めるのみだという。しかし、今冬の降水の少なさは群を抜いており、昨年10月23-24日に7.3ミリを記録して以降は、1月23日時点で観測可能な降水量は認められていないと説明した。

 陳科長は、同市が乾燥している理由について、冬の入りから同市上空に留まる冷たい空気の速度と強力さを挙げている。加えて、南からの暖かく湿った気流の弱さが、同市で雨や雪などが降りにくくしていると説明した。

 陳科長によると、同市での「ゼロ降水」は、23日時点で約92日に達し、1971年に記録した約114日間以来、2番目に長い記録になった。
 
 一方、同市では、降水の少なさから、大気の乾燥をはじめ、ダム貯水量や地下水の減少、作物の発育不良などが懸念されている。特に、同市で栽培中の麦の苗では、約9割が立ち枯れるなどの被害に遭っており、農家からは1日も早い降水が求められている。

 また、同市水務局も、同市の水不足の深刻さを強調している。同市最大級のダム、密雲水庫では、貯水量が1999年の28億立方メートルから、現在10.4億立方メートルに減少。現在の不足分は同市以外からの水や、地下水で対応しているといるという。しかし、頼みの地下水も近年では年間3-5ミリペースで水位の低下が進んでいることから、一刻も早い雨や雪の到来による水源確保が急がれている。
(編集担当:金田知子)

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