中国では、飼料添加物「痩肉精(塩酸クレンブテロール)」事件が後を絶たない。台湾の専門家は、「中国で生産される豚肉の6割からこのような薬品が検出されており、新たな安全評価システムの構築が急務だ」と指摘している。
台湾の中央通訊社などが伝えた。

 ある研究によると、中国で飼育されている豚の6割は、痩肉精(赤身肉化剤)、抗生物質、重金属、消毒薬など各種薬品の濫用が原因と見られる中毒症状を呈している。

 専門家は、「どのような薬品が混入された飼料を豚が食べているのか、消費者は知らされていない。一時しのぎの措置を講じることはできても、検査すべき対象が多すぎることから、根本的な解決のための管理方法は現時点で見当たらない。全く新しい安全評価システムを構築することが急務となっている」と指摘した。また、痩肉精以外に、成長促進のための抗生物質や消毒薬の濫用、重金属の含有量超過は、養豚場をめぐる深刻な問題となっている。

 中国中央電視台(CCTV)はこのほど、河南省にある10カ所の養豚場が日常的に「痩肉精」を使用している現状や、国内食肉加工大手・双匯集団の子会社が「痩肉精」入りの飼料で飼育された豚を仕入れている事実について報道した。それ以降、双匯集団以外の食肉加工企業もやり玉に挙げられ、食の安全に対する不安感が国民に広がった。(編集担当:松本夏穂)

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