中国共産党は1949年の中国人民共和国建国以降、新疆ウイグル族自治区への漢人の移住を積極的に支援してきた。移民は途絶えることがなく、約300万人の漢族が移民した。
しかし、2009年7月5日に発生した「ウイグル人騒乱」以降、政府が漢民族を保護すると表明するにもかかわらず、多くのウイグル村で漢人の転出が目立っている。香港のメディアなどが報じた。

 今年70歳の漢人男性の林玉さんは山東省済南市からイリ・カザフ自治州伊寧市于孜村に移住して約40年。移民後甘粛省出身の漢人女性とお見合い結婚し家庭を持った。現在、3人の娘は、ウイグル族自治州を出て結婚し、次男はウルムチ市で仕事を持ち、長男だけが村に残ったという。以前この村には10数軒の漢人家族が居住していたが皆日々の不安を訴え転出し、現在は林さん家族だけが村に残ったという。

 林さんはウイグル人の友人はたくさんおり村のウイグル人幹部も漢族に対して平等だと強調するものの、「敏感な時期、情勢がどう転ぶか全くわからない。村政府や公安局が電話で自宅待機で安全に注意しろと言っても、家を壊され襲われることもある」と述べた。

 新疆ウイグル自治区政府関係者(漢人)は「多くの漢人がウイグル村では永遠に客人だという意識が消えず、帰郷を望んでいる。中央政府は何らかの政策を打ち出し移住者の転出を留まらせることが必要だ」と述べた。 (編集担当:鈴木朋子)

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