江蘇省南京市内で13日、2歳の男児が9階の窓から約30メートル下の地面に転落した。男児は脾臓(ひぞう)破裂や左腕骨折など重傷を負ったが、一命を取り留めた。
マンション警備員の努力や、たまたま自動車で通りかかった人の協力が奏功したという。中国新聞社が報じた。

 転落事故が起こったのは南京市建〓区内のマンション。建物近くで干し物をしていた住人女性によると、上から「黒い影」が降ってきた。植え込みの中に「ドスン」という大きな音をたてて落下したという。最初はどこかの家が布団でも落としたのかと思ったが、しばらくして子どものうめき声が聞こえてきた。(〓は「業」におおざと)

 かけよると、小さな男の子があおむけになって倒れていた。鼻からは血が出ていたという。住人女性は慌ててマンションの管理人室に電話連絡した。

 警備員の呉小琴(女性)さんと方進さんが現場に駆けつけた。男の子はうめき続けていた。抱きあげながら「いい子だから落ち着いて。
すぐに病院に連れて行くからね」などと話しかけ、道路に出るのに最も近いマンション北門に向かった。

 男の子を抱えていたのは呉小琴さんだった。途中で男の子が意識を失ったので、驚いて足の力が抜け、座り込んでしまった。一緒にいた方さんがすぐさま男の子を受け取り、呉さんをそのままにして、再び北門を目指して走った。

 北門では、マンションの管理人らが、通行する車を止めて病院への搬送を頼もうとしていた。事務用品を運搬するワゴン車を運転した陳春芳さんは、人々のただならぬ様子を見て、車を止めて事情を聞いた。

 陳さんは「自分が病院に運ぶしかない」と即断。男の子の母親もちょうど駆けつけたので、男の子を抱かせて車に乗せた。

 一番近い病院に急行したが、「もっと設備の整っている医療機関でないと難しい」と言われた。母親はショックで周囲の状況に反応を示さないような状態になってしまった。陳さんはすぐにタクシーをつかまえ、自分は男の子を抱く母親に付き添う形で乗車した。

 設備が充実している明基医院(病院)に到着。
陳さんはタクシーの料金を払おうとしたが、運転手は「そんなことより、とにかく治療を」と言い、受け取らずに走り去った。

 明基医院の医師によると、男の子は脾臓が破裂しており、手術開始がもう少し遅れていたら取り返しのつかないことになった可能性が高いという。男の子は20日までに集中治療室を出て一般病棟に移った。まだ左腕骨折の手術を受ける必要があるが、それ以外に問題はないという。

 事故発生時、母親は近所で買い物をしていた。男の子は「空を飛ぶ恐竜のまねをしていた」と説明した。母親によると、しばらく前に常州市にある恐竜園に連れて行ったところ、恐竜が大好きになった。買い物についてくるのを珍しく嫌がったので、寝室で恐竜のアニメを見せておき、自分は出かけた。事故後には閉めていたはずの寝室の出窓が開いていたので、そこから飛び降りたらしいという。

 男の子は低木が密生する植え込みに、あおむけになって尻の部分から落ちたとみられている。低木がクッションになり地面も比較的柔らかく、落ちた時の姿勢も幸いした。さらに、居合わせた人それぞれが最善を尽くしたことで、治療の開始が間に合ったとみられている。
(編集担当:如月隼人)
編集部おすすめ