東莞市長安鎮にあるマンション1階部分で理髪店を営む胡超さんは、上から女性用のハイヒールの靴が落ちてきたので「あれっ?」と思った。続いて、もう1つ、落ちてきた。「危ないなあ。人に当たったらどうするんだ」と思い上を見ると、4階の窓から女性が身を乗り出していた。
「飛び降りるつもりだと、すぐに分かりました」という。「何とか、助けなきゃいけない」と思い、大声で「飛び降りちゃだめだ!」と女性に呼びかけた。同時に「だれか助けてくれ!」と周囲に向けて怒鳴った。その時、マンション建物の外壁に垂れ下がっている広告を掲載した布が目に入った。
胡さんは急いで、力まかせに布をたぐりよせた。駆け寄ってきた人5人といっしょに、布を広げたとたん、布の中心部から多少ずれた場所に女性が落ちてきた。「うまく受け止めたと思った瞬間、手がしびれて布を放してしまいました」という。女性は布にくるまるような格好で、地面に落ちた。
胡さんと一緒に布をつかんでいた欧明洋さんによると、「顔が血だらけでした。すぐに警察と救急車を呼びました」という。女性は近くの長安港湾医院(病院)に搬送された。
同病院の医師によると、女性は頭部や胸部を負傷しており、体を動かすことができない。ただし、危険な状態は脱した。「布で受け止めてもらえなければ、命を失っていたでしょう」という。
女性を救った6人はいずれも、「とにかく助けようと思い、布を広げた直後に女性が落ちてきました。
地上で布の一端を握っていた熊九根さんによると、女性は熊さんの持っていた部分の近くに落ちた。「もうちょっとずれていたら、私の頭が直撃されたかもしれないと、後になって怖くなりましたよ」という。ただし、女性に対しては「とにかく、助かってよかった」と思うだけで、自分の行為を後悔はしていない。
身分証明書やカードなどを持っていなかったため、女性の身元は分かっていない。病院側は、費用の問題を考える段階ではないとして、女性の治療にあたっている。(編集担当:如月隼人)