軽快でノリのいい「Up Beat」、「ハダカノココロ」で幕を開けたライヴは、演奏をつとめるプレイヤーがとにかく強力! ドラムはファンキー末吉、ベースは和佐田達彦という爆風スランプのリズム隊で、天才ギタリストの呼び声高い田川ヒロアキも参加。バイオリン&ピアノのインストルメンタル・ユニットsourcesも加わり、重厚感あふれるゴージャスなサウンドが奏でられた。
同日早い時間に、野村義男とのアコーステック・ユニット「ON & OFF」のライヴを終えていた曾我は、「エレキギターを持つと人格が変わる!」と激しいステージを展開することを笑顔で匂わせ、正月休みに駆け付けた観客に感謝。「新年の区切りとして、そして50代突入にあたって、音楽と人生を楽しく歩んでいきたいと思います」と宣言した。
「OH・MY・GOD!!」、「Go Ahead Again」、「One More Kiss You!」といった心地良いナンバーが続いた後は、曾我のことを“やっちん”と慕うゲスト・ミュージシャンたちが次々登場。トップバッターはThe Good-Bye(ザ・グッバイ)のメンバーとして共に活動を続ける“弟分”の衛藤浩一で、ハッピ姿で「花のお江戸は華盛り」を熱唱。クモの巣テープを投げて景気付け、ライヴ開催を祝った。そしてJ-POP界の大御所、杉真理がステージへ。曾我にとって杉は、「新しい音楽スタイルを追求し続ける姿を尊敬し、縁をつなぐために切磋琢磨を心がけなければいけない」と意識させる大先輩。過去に共作を発表しているが、この日も曾我が新曲を一緒に作りたいとお願いし、杉が「もちろん!」と快諾。2人の新たなコラボ曲が、遠くない内に聞けそうだ。
そしてステージをよりホットにしたのは、ミュージカル界のトップスター・石井一孝。舞台共演をきっかけに息投合した曾我と石井は、一緒にアルバムを作ったこともある15年来の親友同士。思い出話に花を咲かせ、久し振りにコラボライヴをやろうと約束した。2人がギターと鼻歌で曲を作りながら完成させた、「melodies for you」はファンの人気が高いナンバー。この日は見事なハーモニーで歌い上げ、感動を誘った。最後のゲストは“切っても切れない、家族のような間柄”の野村義男。曾我のギターを持ったり、突然踊りだして笑いを取っていた野村だったが、ギターを弾き始めるとガラリと変わりグッバイ初期のロックな曲「Midnight Train~DOLL」を披露。曾我のリクエストで野村義男VS田川ヒロアキのギターバトルも行われ、ステージも客席も一体になってヒートアップした。
ゲストコーナーが終わると、愛にあふれたバラード「君の歌」、約10分のロングヴァージョンで演奏した異国感あふれるサイケな「Another Wolrd」など聞かせポイントが盛りだくさん。
アンコールは「ほんとに楽しいな~!」と喜びにひたる、曾我の笑顔でスタート。「21st Century」と共に演奏メンバーとゲストを改めて紹介し、全員で「愛を育てよう」を大合唱。ケーキが運ばれ曾我の誕生日を祝う場面もあった。「40代最後の今日は、一生忘れないだろう充実したバースデー・イヴになりました。がむしゃらに走った40代でしたが、50代も楽しい時間を重ねながら一歩ずつ歩んでいきたい」と語り、会場の全員に感謝した曾我。
前へと向かう姿が楽曲を通して伝わり、またたくさんの仲間とファンに愛される理由が垣間見れたような、ミュージシャン曾我泰久のパワーと素顔を感じたスペシャルなライヴだった。(取材・文責:饒波貴子)