台湾紙の蘋果日報は11日付で、広東省珠海市で7日、高校生2人が大学入試会場となっていた高校の国旗掲揚ポールに、中華民国の国旗である「青天白日旗」を掲揚して警察に連行されたと報じた。

 7日は、大学入学試験の初日だった。
2人は中華人民共和国国旗である「五星紅旗」を降ろし、「青天白日旗」を掲揚した。2人は校内を走り回ったが、警察に身柄を拘束され、連行されたという。

 うち1人は、「ツイッター」に助けを求める書き込みをした。中華民国の国旗を掲揚した動機は孫文の唱えた「三民主義を信奉しているから」と説明した。2人は「青天白日旗」を掲揚する様子や引きずり降ろした「五星紅旗」の写真も投稿した。

 また、校内で自らを撮影したと見られる、中国地図や「我愛中華」と書かれた壁を背景にした写真も紹介された。

 中国大陸のインターネットで、同情報は見当たらない。

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◆解説◆

 三民主義は、孫文が1906年に発表した中国革命の基本理論。中国国民党の基本綱領に採用され、中華民国憲法にも趣旨が記載されている。

 「満州族による清朝政府の打倒と、欧米列強の帝国主義による半植民地状態からの脱出(民族主義)」、「人民が選挙権、罷免権、創制権、復決権を行使することによる政府権限の管理(民権主義)」、「資本家と労働者の利害調整などによる、社会全体の経済利益の調和(民生主義)」の3つを指す。

 中華民国は共産党との戦いに敗れ1949年に台湾に移った。そのため、「青天白日旗」は現在でも台湾が「中華民国国旗」として用いている。


 ただし、戦前からの台湾住民やその子孫の中には、「青天白日旗」に親しみを感じない人もいるという。「大陸から持ち込まれたもので、自分たちのものではない」との理由だ。(編集担当:如月隼人)
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