韓国メディアのソウル新聞は12日、就職難のせいで学資融資金(教育ローン)を長期にわたって滞納している大卒者が急増しているという記事を掲載した。

 記事は、韓国政府が貸し付けを行っている、「心強い学資融資金」から借りたものの返済できず、滞納者にとなる大卒者が急増していると報じた。
同教育ローンでは、大学の授業料と在学中の生活費についてを借りることができ、卒業後に返済する制度であるという。

 韓国国税庁の11日の発表によると、15年の滞納者は2万人を超える見通しだという。記事は滞納者について、「13年には1000人足らずだったものの、14年には1万3000人にのぼり、15年は2万3000人が滞納者となる見通しだ」と伝えた。

 また、滞納された金額は、13年には28億ウォン(約2億8000万円)だっだが、「15年は4.4倍となる122億ウォン(約12億2000万円)まで膨れ上がる見通しだ」と報じた。

 長期滞納者が急増した理由については、記事は大卒者の就職難にあると指摘。14年の15歳~29歳までの失業率は9.0%で、「統計基準が変わった2000年以降で最高値を記録した」と記事は伝えた。

 15年1月にはさらに上がり、9.2%であった。また、特に、教育ローンを返済しなければならない25歳~29歳の大卒者の失業率は、昨年は7.7%であり、これは1998年に起きた、通過危機の時とほぼ同レベルで、当時の失業率は7.8%であったと伝えたほか、「世界的金融危機に襲われた翌年の2009年の6.5%よりも1.2%も高い」と指摘した。

 これに対し、韓国技術教育大学のクム・ジェホ教授は韓国政府の政策を指摘。韓国政府は、若者の海外における就業機会の拡大などの政策に取り組んでいるが、「このような短期的な政策では失業率を下げることはできない」と強調し、「中小企業と大企業の賃金格差を解消できるような長期的対策を講じなければならない」と指摘した。

 国税庁は長期滞納者の増加する現状に対して、、長期滞納者に対し管理を強化する方針を固め、教育ローンに関する特別法の改正。長期滞納者に対して直接電話を行うなどの対策に取り組むという。


 韓国のネットユーザー達はこの事実について、「卒業するやいなや借金地獄。就職するやいなや学資融資金奴隷」「登録金を下げる考えはなくて、学資融資金の商品だけは増えるよな・・・」と厳しい意見のほか、「学資融資金も長期、短期の2種類にしないといけませんね」など提案するコメントもあった。

 また、現在の韓国社会に対するコメントとして「無条件、大企業だけに行こうとする大学生らを批判する人々もいるけど・・・中小企業は本当に概念が全くない会社が多い。年俸は2000万ウォン(約200万円)しかくれないのに、4ヶ国語を話せる人を探したり、ガソリン代もくれないくせに、個人で車を持っていなければならないとか・・・ビジョンがある中小企業はごくわずか」などのコメントが寄せられた。(編集担当:李樹香)(イメージ写真提供:123RF)


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