中国軍が6月から内モンゴル自治区・ジュルフで6月から行っている軍事演習「跨越2015」で、「台湾総統府(中華民国総統府)」そっくりの建物を作り、特殊部隊が攻撃、突入する模擬市街戦が実施されたことが分かった。

 中国中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)が5日に「跨越2015」で実施された市街戦模擬戦の紹介番組を放送。
番組中で、中国軍兵士が台湾総統府に「極めて似ている」建物を攻撃し、突入するシーンが注目を集めるようになった。

 中国メディアの観察者網は「演習では台湾問題の武力解決が想定されていた」との見方を示した。

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 中国は1979年に台湾政策の基本を武力解放から平和統一に転換した。ただし、独立の動きが本格化した場合には、「軍事介入も辞さず」との立場だ。

 中国が台湾を攻撃すれば、米国は「台湾関係法」にもとづき、軍事介入する可能性がある。中国には「耐えられないシナリオ」だ。

 したがって中国にとっては「台湾人の独立志向を減じ、統一の世論を形成する」ことが、長期戦略になるはずだ。

 中国側の失敗事例としては、1996年に実施された台湾初の正副総統の直接民選選挙時に、台湾近海でミサイル演習を実施したことある。台湾世論の反発を招き、中国が嫌う「李登輝総統」が予想以上の高得票で当選した。

 中国はその後、「台湾の民心に配慮」する方策に転換した。特に国民党の馬英九総統が誕生してからは、台湾に経済的利益を誘導した。

 ただし、「2014年のサービス貿易協定」では挫折。
中国共産党の習近平総書記(国家主席)が北京を訪れた台湾野党・親民党の宋楚瑜主席に対して、馬英九政権は台湾情勢について「事実と異なるメッセージを送っていた」と述べた。つまり、中国大陸側が「台湾の民意をつかみ損ねた」ことを問題視していたことになる。

 台湾に対する武力行使の可能性が少しでもあると考えるなら、軍が「台北市内での市街戦」の訓練をしてもおかしくない。ただし、軍事関連の情報は外に出さない場合も多い。しかも中国は、当局による報道管制のある国だ。

 同情報に接した台湾人は、これまで以上に「中国政府から心の距離を置くようになる」はずだ。中国軍特殊部隊による「台湾総統府」の攻撃と突入が報道された真意は、不明としか言いようがない。(編集担当:如月隼人)


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