中国メディアの環球網によると、中華民国(台湾)のパスポートが「ヤミ市」で売りさばかれているという。売価は10万ドル(約1228万円)以上の場合もあり、購入者の多くは中国人(大陸人)という。
ビザなしで訪問できる国が極めて多いことが理由と考えられる。

 台湾のパスポート保持者がビザなしで入国(入境)できるのは全世界158の国と地域に増加した。日本国パスポート保持者の場合、ビザ免除の国と地域は154で、到着時の空港などでビザが取得できる場合を含めれば189の国と地域だ。いずれも世界で「最も使える」パスポートの部類と言ってよい。

 台湾では毎年、パスポートを紛失したとして約2万件の届け出がある。うち、海外における紛失は5000件前後とされる。海外での紛失が最も多いのは、華僑が多くすむ米国西部だ。東南アジアでも紛失が多く、ベトナムやカンボジアの賭博場で負け、「差し押さえられる」場合も多いという。

 販売価格の高騰は、ICチップが埋め込まれるようになり、偽造が困難になったことも関係しているとされる。

 中国社会科学院台湾研究所の王建民研究員は、中国人が台湾のパスポートを求めることについて、「大陸と台湾の両岸関係が平和的に発展していることも背景」と説明した。

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◆解説◆
 台湾と外交関係を持つ国は全世界で22カ国だ。世界に存在する独立国は200カ国あまりとされる。
約9割の国が台湾を国として認めていない、すなわち形式上は「中華民国のパスポートは正規のものでない」としていながら、「正式の政府発行物」として広く認められる「中華人民共和国のパスポート」所持者にはビザ取得などが課される場合が多いのは、異常な事態と言える。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)


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