盗まれるのは、50代で亡くなった女性の遺体が多いが、70歳以上の場合もある。遺体の盗難は、半年ほど前から連続している。副葬品は盗まれず、遺体だけが持ち去られるという。
「冥婚」とすれば、男性が亡くなった際に、「あの世での配偶者」にするために女性の遺体を盗むと考えられる。現地警察および住民は、亡くなった男性の遺族ではなく、何者かが女性の遺体を売るために盗むと考えている。
山西省では別の場所で10月にも、女性の遺体を掘り出して盗んでいて売りさばいていたとして、複数の容疑者が検挙された。遺体の“販売価格”は2万5000元(約47万7000円)だったという。文水県で発生している一連の遺体盗難事件でも、警察が捜査を進めている。
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◆解説◆
中国共産党は、土葬は「打ち破るべき古い習慣」として火葬などを奨励している。特に党員に対しては、「土葬は基本的に不可」との考えだ。
根本的な理論としては、宗教を認めないマルクス・レーニン主義があり、社会的な背景としては、埋葬場所の確保が困難になってきたとの事情もある。
なお、共産党員に対しても、「人口密度が低く、交通が不便で火葬のための施設」がない地区の場合には、土葬を容認するが葬儀を簡素にし、伝統的な墓は作らないように求めている。少数民族居住区の党員に対しては、「火葬にするかどうかは、現地民族の習慣を尊重して判断してよい」としている。
中国の歴代指導者では、周恩来とトウ小平が本人の意志により散骨された。中国では古くから、「憎む相手の墓を暴いて遺体を辱める」という風習がある。周恩来の場合は死去した時点で対立していた江青らが失脚しておらず、自分の遺体が辱められることを避けたかったとの見方がある。
いずれにせよ、周恩来とトウ小平の散骨は、党の方針にも合致していたといえる。毛沢東の遺体は防腐処置が施され、北京市中心部の毛主席紀念堂に安置されている。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
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