リアム・ベイツさんは、中国の放送局で仕事をしていた。だから中国語も流暢だ。「李牧(リー・ムー)」とい中国名もある。中国を訪れた人、長期滞在する人は、中国での生活を気に入ってしまう人と、嫌悪する人に、比較的はっきり分かれる傾向がる。ベイツさんは、中国での生活によく適応したようだ。
ところが、頭を抱えてしまったことがある。カナダ人の妻が北京で生活しはじめて、喘息発作に苦しめられるようになってしまった。それがきっかけで、夫妻は大気汚染の問題に関心を持つようになった。
ベイツさんは2014年、北京市内に生活(北京)科技有限公司という会社を設立。第1号の製品は「オキシーボックス(OxyBox)と名づけたミニ空気清浄器だった。
ベイツさんの次のアイデアは「大気汚染を可視化する」だった。汚染がひどいと見せつけられれば、対策を真剣に考えるようになると予測した。
そこで、片手で持てる程度の大きさの「測定器」を開発した。原理としては、測定器内部でレーザー・ビームを発生し、減衰の程度を測定する。大気中を浮遊する微粒子が増えれば、レーザー・ビームは大きく減衰するようになる。価格は日本円で9600円程度だ。
自宅内でも自動車内でも空気の汚染がすぐに分かる。「隣の家で料理をするでしょ。換気扇で排出された油煙がこちらの家に入ってくるんです」といった、生活における「大気汚染」も分かる。とにかく「今、ここで呼吸している大気の質」は常に変動しているという。
「大気汚染ミニ測定器」は発売当初から売れ行き好調だった。11月末に北京市で大気汚染がさらに深刻化したことで、「1カ月前と比べて、販売数が2倍になりました」という。
生活(北京)科技有限公司は洒落たビルに入居しているのではない。本社建物は「四合院」と呼ばれる、北京市の伝統的な民家だ。しかも古くてぼろぼろという。現在、その古い「四合院」の門には「ミニ測定器は品切れです」との貼り紙がある。予約分の商品引き渡しは来年(2016年)1月まで待ってもらうしかないという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)axz65/123RF.COM)
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