中国メディア・中国電子報は11日、「液晶の父」と称されるほど業界をリードしてきたシャープの液晶事業部門が譲渡問題で揺れていることについて「どうして衰退の道を進んでしまったのか」とする記事を掲載した。

 記事は、同社の液晶部門が「液晶の父」との誉を受け、世界で初めて第6世代、第8世代、第10世代液晶パネルの生産ラインを作ったほか、IGZOなどの先進技術特許を持っていると紹介。
一方で、昨年以降液晶部門の売却計画にかんする情報が続々と湧いて出ており、同社は「液晶事業の構造改革は協議の段階にあり、最終決定していない」としているものの「すでに少しずつ離れてしまっている状態だ」と評した。同時に、仮に液晶部門が売却されたとしても、多くの特許技術を有する同社が液晶分野から完全に退場するわけではないとする専門家の見方も示した。

 また、同社の液晶部門が窮地に追いつめられた理由として、北京交通大学の徐征・教授が「近年の中国液晶パネル産業の急発展が深刻なダメージを与えた」と解説したとも伝えた。そして、中国の液晶パネルメーカーが教訓とすべき点として、液晶技術関連分野のコンサル企業・群智諮訊の李亜琴氏が「市場ニーズに沿って技術開発の方針を調整する必要があったなか、当初のデザインを推し進めたうえ、そのスピードが遅く、ニーズについていけなかった」、「お高くとまり続け、ライバルの戦略に対して然るべき変化をする気がなかった」、「LTPS技術の進歩が著しいなか、中小サイズ領域でIGZOを推し続けるなど、フレキシビリティに欠けていた」との3点を挙げたことを併せて紹介した。

 日本の家電企業の衰退を指摘する声が中国国内から出るようになってからすでに久しい。要因については技術力の低下、イノベーションの不足など様々な点が挙げられているが、技術力というよりも「変化の揺さぶりについていけない、柔軟さに欠ける企業の体質や管理体制」に問題があるとする論調が主流のようである。中国電子報の記事にもあったが、「インターネット時代の競争に適応できない」という言葉も、日本の家電メーカー衰退を形容するものとして中国国内ではしばしば見られる。

 好調なときは「自信に満ちた、ぶれない」と映る姿勢も、時流を見誤って衰退すれば「お高くとまって、他社の戦略を気にしなかった」という印象になってしまう。失った自信を取り戻すには、過去の栄華を「過去のもの」と認め、チャレンジャーとして再出発する勇気が必要なのかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)mikewaters/123RF)


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