記事は、電子レンジのインバーター研究では日本が絶対的な先発優位性を持ち、中国では日本から30年あまり遅れた2008年にようやく研究プロジェクトがスタートしたと紹介。そのうえで、プロジェクトを立ち上げた美的のエンジニア・黎青海氏をリーダーとするグループが、日本の持つ技術を消化・吸収したうえで、苦労の伴う研究を重ねて独自の技術を持つに至った経緯について説明している。
インバーター式電子レンジの核となるIGBTと呼ばれる部品について研究を重ね、5000回あまりの失敗を経験、失敗のたびにメカニズムを探って改良を進めてきたという。3カ月あまり深夜の最終バスの時間まで実験室に残って研究を繰り返すという「奮闘」を続けた結果、新たな方式と技術を開発し、部品の数も半分以上減らすことに成功したとのことだ。
記事は、「08年に始まった電子レンジインバーター技術研究が、16年にはその技術と応用法において日本を全面的に超越することに成功した。日本からの部品や技術支援に依存していた状況が、日本企業から積極的に協力を求めて来るようになった。美的は8年で『0』から『1』への跳躍を実現したのだ」と評した。
また、黎氏が「長年の蓄積や投資により、中国は家電技術においてすでに世界のトップクラスを走っている。世界に打って出る実力や条件をすでに備えているのだ」と語ったことを併せて紹介している。
折しも、東芝が家電事業部門を美的に譲渡することが先月末に発表された。シャープが台湾・鴻海の買収提案を受け入れたことと併せて、日本の大手電機メーカーに対する中華系企業の買収攻勢が世間を騒がせている。中国家電網の記事や黎氏の話は、現在の状況を象徴するものと言えそうだ。
「パクリ一辺倒」とされてきた中国の製造技術にオリジナリティが見え始めたのは当然と言えば当然だろう。技術革新できず依然として「パクリ」で生きている企業は、近い将来業界から淘汰されていくはずだ。一方で、日本の技術開発も立ち止まることなく、新たな分野への開拓や進出に伴う開発、既存技術のさらなる応用拡大が進んでいる。日中の製造業は「時として激しい競争のライバル、時として相互補完するパートナー」という新たな関係を築く段階に入りつつある。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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