アジア各国の高速鉄道市場をめぐって新幹線と受注競争を繰り広げる中国高速鉄道に対し、中国側は建設コストの安さを強みであると強調している。中国側の主張によれば、中国高速鉄道の1キロメートルあたりの建設コストは新幹線など他国の高速鉄道の約3分の1の水準にとどまるという。


 中国高速鉄道はコスト競争力という強みを持つはずだが、それでも輸出事業は頓挫の連続だ。米国では協力していたはずの企業が提携打ち切りを発表したほか、メキシコでは受注そのものが取り消しとなった。また、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画では中国側がインドネシア政府の債務保証を求めないなどの破格の条件を提示して受注したものであり、建設コストの低さが評価されたものではなかった。

 中国メディアの参考消息はこのほど、香港メディアが「中国高速鉄道には建設コストの安さという強みがあが、それでも頓挫の連続」と指摘したことを伝えている。

 記事は、中国が推し進める「一帯一路」戦略の沿線諸国の関係者がこのほど、中国の国有企業の工場を見学したことを伝え、同関係者らから「中国が高速鉄道市場の競争で勝ち抜くには、品質が求められる」との声があがったことを紹介。さらに、高速鉄道を求める国々が要求するのは「建設コストの安さ」だけではないとの意見もあったと伝え、「低コストは買い手が求める唯一の要素ではない」と論じた。

 続けて、新幹線は1964年に世界初の高速鉄道として開業し、未だに乗客の死亡事故が起きていないことを指摘したうえで、「やはり新幹線こそ中国高速鉄道の最大の強敵」と主張。バングラデシュの中央銀行の関係者からは「バングラデシュのような開発途上国にとっては日本製品のように耐久性のある製品のほうが好まれる」との意見があったことを伝えた。

 バングラデシュの中央銀行の関係者の指摘は、開発途上国の人びとにとっては、高速鉄道に限らず、日常的に使用する製品においても「安かろう悪かろう」の中国製品よりも、多少高額でも長く使える日本製品のほうが望ましい存在であることを示唆するものと言えるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Sakarin Sawasdinaka/123RF.COM)


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